「おろち」 2008年公開
ある嵐の夜、門前家の前に
赤い服を着た一人の少女が立っていた。
彼女は“おろち”。いつの世も人々を見つめていた。
彼女が今回選んだのは銀幕の大女優・門前葵の家。
葵には娘が二人いた。一草と理沙の姉妹。
おろちはその家の新しい家政婦として働き出す。
その家には葵以外が入ることを許されない部屋があった。
変わり果てた葵の母親が匿われていたのだ。
門前家に生まれた女性は、29歳になると
徐々に醜くなっていき、最期は人とは思えぬ姿に。
葵にもとうとう“そのとき”が訪れ、自暴自棄になった彼女は
酒に酔った状態で車を運転し事故にあってしまう。
おろちがとっさにハンドルを握り、間一髪命は取り留めた。
しかし、おろちは腕から出血してしまい、
そのまま眠りについてしまう。そして20年の時が経った。
おろちの意識は人間の女性・佳子へと移っており、
身寄りのない彼女は中年の流しの夫婦の元で生活していた。
そこへ、大人の女性になった門前理沙が現われて、
中年夫婦から300万円という大金で佳子を引き取ったのだった。
門前家に着くと、母親と瓜二つの
美しい女性へと成長した一草がいた。
そして、一草にも母・葵と同じように
“そのとき”が近づいていたのだった。
再び門前家の家政婦となったおろちは、
二人の姉妹の行く末を見つめることになる...。
原作は楳図かずおの同名ホラー漫画。
監督は鶴田法男。「リング0~バースデイ~」や
「予言」などを手がけた。
出演は葵/一草に木村佳乃。理沙に中越典子。おろちに谷村美月。
他に山本太郎、嶋田久作、大島蓉子、エド山口など。
なんと言っても木村佳乃と中越典子、
そして谷村美月の怪演がものすごいです。
谷村美月の放つ不思議な存在感が活かされた作品。
木村佳乃と中越典子の文字通りの激しい競演には、
あまりのすごさにちょっと笑ってしまいました。
こんな声を出せるんだ。という感じで荒れまくり、
部屋中のものを壊しまくりの女同士の喧嘩。
時には髪の毛を引っ張ったり、乗馬用の鞭で叩いたり。
「いやぁ、すごいなぁ。」とただただ恐怖し、
少し遠いところから距離をおいて観ていました。
後半は女性の恐ろしさを嫌と言うほど見せ付けられました。
そして最後の最後での、ある一言による
裏切りには身の毛もよだちます。
女性が恐ろしいのか、人間が恐ろしいのか。
痛いシーンの連発ですので、そういうのが苦手には不向きです。
後半はずっと目を閉じていることになりますので。
そんなに好きな女優さんというわけではありませんが、
木村佳乃さんの美しさを改めて感じました。
姉妹の少女時代を演じた子役の雰囲気がなんか似てました。
顔の雰囲気が似てるのというのもありますが、ふとした表情が。
そして衣装やセットも時代設定を
踏まえたデザインで素晴らしかったのですが、
門前家に使われた家が良かったです。“あんな家に住んでみたい”
くれぐれも“あんな女性がいる家に住んでみたい”
ではありません。そこ大事です。