赤い風船(デジタルリマスター)」 2008年公開

ある日の朝、パスカル少年は小学校に

行く途中の道で赤い風船を見つける。
風船を持ったままバスに乗ろうとするが、

邪魔だと断られて、乗せてもらえなかった。
仕方なく歩いて小学校へ向かうパスカル。
学校が終わるまで事務のおじさんに預けておき、

授業が終わると一緒に家まで帰った。
家に着いても風船は家の中には入れてもらえず、

窓からほおり出されてしまう。
しかし、風船は窓の周りを上下左右に動くものの、

なかなか窓から離れようとしなかった。
窓の外に風船がいることに気付いたパスカルは

喜んで家に入れてあげるのだった。
それからパスカルが外出するときは、

風船がいつも後をついて来ていた。
そんなとき風船の存在を羨ましく思う、

他の少年たちに目をつけられて、

風船は奪われてしまうのだった...。

オリジナルは1956年の作品であり、

その年のカンヌ国際映画祭において

パルム・ドールを受賞している。

監督はアルベール・ラモリス。

今回同時上映されていた「白い馬」も

彼が手がけた作品であり、

1853年の同じくカンヌにおいて、

パルム・ドールを受賞している。

グレーがかったパリの町並みを

少年と駆け巡る鮮やかな赤い風船。
まるでガラスのような光沢を持つ風船が、

生き物のように動き周り、

少年のそばを離れない姿には心打たれます。
決して言葉を発するわけではないが、

心を通わすことができる存在。

風船は街並みが映るように光沢を出そうと、

二重にしたものを膨らませているそうです。

風船の動きも含めて、驚くべきことに

CGは一切使用してないとのこと。

時代が時代なので当たり前と言われればそれまでだが、

あの動きをどのように生み出して撮影したのか、

考えても考えてもわかりませんでした。

最後の感動的なシーンも含め、撮影方法は企業秘密だとか。
CGがなくてもこんな映像が撮れるなんて、

現代の作品も負けてはいられません。

風船を思う少年のけなげな姿と

バックにかかる音楽がとても合っていて、

あの曲を聴くとウルッと来てしまいそうです。

ストーリーは極めてシンプルなものですが、

いろいろな要素を含んでおり、泣かせると同時に

深く考えさせられる作品です。


ちなみに少年を演じていたのは監督の実子である、

パスカル・ラモリスだそうです。