パコと魔法の絵本」 2008年公開


これは、とある病院での出来事。

パコは誕生日の前日に通事故にあってしまい、

同乗していた両親を亡くしてしまった少女。

事故の後遺症で記憶が1日しかもたず、

朝起きると昨日の記憶はなくなっている。

大貫は一代で築いた大会社の社長。

会議中に倒れて病院に運ばれてきた。

コスプレ大好きな医者の浅野。

ピアスとタトゥーを入れた看護婦・タマ子。

ドラキュラのような歯で噛み付く看護婦・雅美。

元子役で今は自殺未遂を繰り返す室町。

いつもテンション高めでKYな堀米。

交通事故にあった消防士の滝田。

どこからどう見てもおっさんのオカマ・木之元。

銃で撃たれた傷だらけのヤクザ・龍門寺。

大貫の甥で雅美の夫・浩一。

この病院にいるのは、医者も患者も

個性が強い人たちばかり。

人を嫌い、罵倒し、寄せ付けない大貫はある日パコと出会う。

初めは他の人に接するように、

きつくあたっていたが、パコに笑顔を絶やさないに心を動かされて、

彼女のために何かできないか。と思うようになる。

そして思いついたのが、パコがいつも読んでいる

「ガマ王子とザリガニ魔人」の絵本のストーリーを

全員参加の劇で彼女に見せることだった


原作は後藤ひろひとの舞台用の脚本。

監督は中島哲也。「下妻物語」や「嫌われ松子の一生」などを監督。

出演はパコにアヤカ・ウィルソン。大貫に役所広司。

他に妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、

劇団ひとり、山内圭哉、國村隼、上川隆也。


元々舞台用の作品だったせいか、

メイクのどぎつさや、セットのカラフルさに

ちょっと目が痛くなりそうでしたが、

嫌われ者の老人と記憶がもたない少女の話が

泣かせないわけがないでしょー。

基本的には阿部サダヲや國村隼、山内圭哉らの活躍で、

“コメディ”と言うよりも“お笑い”の方向へと

ストーリーは進んでいくが、

大貫の心に変化が訪れ始めると、

シリアスでハートウォーミングな要素が

強くなってくる(“お笑い”は健在です)。

頬に触れた大貫の手のひらの感触を覚えていて、

「おじさんに昨日も会った?」と聞くパコ。

昨日の記憶は全くないはずの、

パコに起こった奇跡を目の当たりにした大貫は、

この子のために何かできないかと考えはじめる。

と同時に、今までの自分の行いを悔いるだった。

そして、大貫の頬をつたう涙に、

大貫自身が驚き医者に聞く。

「涙の止め方を教えてくれ。」と。

こちらも教えてほしいです。


こんな役所広司は今まで観たことがありません。

特殊メイクで変わり者のおじいさんになっていても、

役者としての演技が光ります。

そして阿部サダヲや國村隼、上川隆也らの演技からも、

この作品に対する意気込みが感じられます。

阿部サダヲや國村隼をますます好きになっちゃいました。