「アフタースクール」 2008年公開


歌舞伎町で怪しい店と探偵を営む北沢のところへ、

ある会社から人を探して欲しいと依頼があった。

その人物はその会社の社員で木村という男だと言う。

北沢は木村の母校で情報を得ようと訪ねた。

そこで母校の中学校で教師を務めている神野と出会う。

北沢は「同級生の島崎」と名乗り、神野から情報を得ようと試みる。

神野は島崎という同級生をよく覚えておらず、

島崎だと思い込んでいる北沢に、

“木村とは今も交流があり、今朝も連絡がつかない木村の代わりに、

産気づいた奥さんを病院へ連れていったところだ。”と説明する。

そんな神野に北沢は1枚の写真を見せる。

そこにはホテルの前で若い女性と一緒にいる木村が写っていた。

その写真を見て、驚いている神野に、

北沢は木村を探すのを手伝って欲しいと告げ、

神野が答える間もなく、強引に手伝わされることとなる。

そして、木村の捜索をする中で、木村がヤクザの女に手を出し、

今も一緒にいる可能性が高いという情報を得る。

しかも、そのヤクザは、木村の会社の社長と裏で繋がりがあった。

さらにヤクザの女は、裏取引で大金が動いていることを

知っており、それを横取りする気では。と北沢は神野に話す。

木村がそんな人間ではないと、頑なに信じる神野は

「お前は木村を知らないだろ?」

と声を荒げるが、逆に北沢に言われてしまう。

「お前は知ってんのか?」と。

やりきれない憤りを感じたらしい神野は

北沢と別れ、家へと帰っていく。

いったい木村はどこにいて、何をしているのか?


監督・脚本は内田けんじ。「運命じゃない人」でカンヌを4賞受賞。

出演は教師役にすっかり役者の顔、大泉洋。「水曜どうでしょう」で

一躍有名になり、「銀のエンゼル」や「ゲゲゲの鬼太郎」などに出演。

同級生の木村役に境雅人。ドラマ「新撰組」の山南敬助でブレイクし、

「壁男」や「クライマーズ・ハイ」、「ジャージの二人」などに出演。

探偵の北沢役に佐々木蔵之介。「サマータイムマシーンブルース」や

「間宮兄弟」、「20世紀少年」などに出演。

いずれもノリにのっている俳優たちの魅力的なキャスティング。

他には常盤貴子、田畑智子、北見敏之、山本圭、伊武雅刀など。


見事にだまされました!まさに脚本の勝利!

とてもよくできている脚本で、2年かかったというのも納得。

思い込みが人間の心理にいかに働きかけ、

真実からどんどん遠ざけてしまうか、

よ~くわからせていただきました。

なんと気持ちのいいだまされ方か!

人間は自分の見た景色を、自分の経験や固定観念から

勝手に自分が思ったとおりのものだと判断してしまう。

それが気持ちよく裏切られました。

大泉洋の役者としての演技力も感じました。

後半の教室での大泉君のセリフ。


「全部わかったような顔して勝手にひねくれて..

この学校つまんねえだのなんだの..」

「お前がつまんないのは、お前のせいだ」


世の中にある、いくつもの可能性に目を向けず、

これしかないと決めつけてしまうのは、

自分自身を不幸にしてるだけだなぁとつくづく。

そして、ほろっとさせるシーンもあり、

人と人とのつながりや信頼も確かにここにはあります。

これだけの要素が102分という時間に収まっていることに、

作り手の力を感じずにはいられません。