「アヒルと鴨のコインロッカー」 2007年公開


大学進学に伴い、仙台のアパートで

一人暮らしを始めることとなった椎名。

ボブ・ディランの「風に吹かれて」を

口ずさんでいると、隣に住む男、河崎から

声をかけられ、誰かが来るのを待ってたと言われる。

彼は「一緒に本屋を襲わないか?」と誘ってきたのだ。

同じアパートに住むブータン人が落ち込んでおり、

彼に「広辞苑」をプレゼントするためだと言う。

さらには謎めいた忠告を残す。

「ペットショップの店長、麗子には気をつけろ。」と。

だが、彼女に会うと、またもや忠告を受ける。

「河崎君に気をつけろ。彼の言うことは信用するな。」と。

また、遡ること2年前、ある事件があった。

そこには、椎名が想像もしなかった物語が...。

そして、椎名はその物語に...。


原作は伊坂幸太郎の同名小説。

小説を読んで、これをどうやって映像化するのか?

と思ったが、見事に伊坂ワールドが展開されていた。

キャストの詳細は、あえて控えさえていただきますが、

キャスティングは見事!と言うほかありません。


見終わって、全てがつながったときの驚き!

と同時に、なんとも言えない切ない気持ち。

そして、「生と死」。「国籍」。「差別」。

110分という長さの中に、

様々な問題が見事に盛り込まれています。

ただ、切ないだけの物語じゃない。

ただ、悲しいだけの物語じゃない。

自分が生きていること。

周りの誰かが生きていること。

その誰かと自分との関係。

などなど。ふと考えさせられます。

が、最後は気持ちも少し和らぎます。

ボブ・ディランの「風に吹かれて」と共に。


今まで映像化された

伊坂作品の中では1番好きです。

来年公開予定の「フィッシュストーリー」も、

同じ監督がメガホンをとるらしいので楽しみです。