眼科に行く前までの生活は。

朝、小学校に子供を送り出し会社へ。

夕方帰って、買い物へ行き夕飯作り。

夜すべて片付いてから時々PCに向かい

寝る。という生活。

ひたすら時間に追われ、特に夕方からは座っているヒマがないほど

がちゃがちゃした日々を過ごしていました。


唯一の楽しみはお酒。

毎晩ワイン、ウイスキーと度数の強いものを空けていました。

一日の疲れをアルコールで流すかのように。

もともと頭痛持ちでしたが、お酒が入ると痛さがやわらぐような気がして

せっせと飲んでいました。


今思えば。

身体が悲鳴をあげていたのかも。

その人の体の弱いところに症状がでるといいますが。

私の場合は、昔から弱かった眼にでたんだと思います。



眼科の先生の話しでは。


私の眼球は普通の人よりかなり大きく、そのため網膜がひっぱられ

薄くひきのばされた状態なんだとか。

さらに強度の近視のため網膜剥離など、網膜に障害が出るリスクが高いと。

今回私が見えなくなったのは、網膜の薄く引きのばされた所が萎縮してる状態で、

萎縮した網膜は細胞が死んで、元には戻らないと。




でも。

出てしまった今。どうにかしないと。

このまま見えなくなるなんていや!

すぐに別の病院へ行ってみようと決めたのでした。
朝の一件から、胸に大きな重りがズーンと入ったまま。

でもこの日は保育園の総会。

最後の行事をやり遂げなければなりません。




無事終了後、すぐに近所の眼科、午前受付の最後に滑り込みました。


眼底検査、眼底の写真を撮って先生は。

「網膜が萎縮している状態ですね。強度の近視の人はこういう症状が出やすいです。」

薬や手術で治るんですか?と私。

「いいえ。今のところこれといった治療法はありません。進行を止める薬もありません。

経過観察のみですね。」

このまま見えなくなるんですか?

「個人差がありますが、広がっていく可能性があります。」

左目もですか?

「その可能性もあります。いわゆる社会的失明です。」

失明・・・。



そんなに簡単に闇の世界へいっちゃうんだ。


ものすごくショックでした。

こんなに淡々と告げられてしまうものなんだ・・・。

みんなにとってはいつもとなに一つ変わらない日常なのに。

私だけ何もかも見えなくなってしまうんだ・・・。

なんで?

なんか悪いことした?

なんで私が?

どうして今なの?

思い切り負のスパイラルにはまりこみました。




いつもの朝と変わらず、

メイクをしようと鏡の前に立ちました
左目をつぶり、アイラインをひこうとしたら・・・。


えっ!?


顔が見えない・・・。

えっ、どういうこと???



灰色の雲が視界を覆ってしまったように、自分の顔が見えないのです。


あわてて今度は右目をつぶりました。


こっちは見える・・。


また左目だけ閉じる。

・・・・・・見えない。


しばらく鏡の前で目を閉じたり開いたりを繰り返していました。

どうしちゃったんだろう。

事実を飲み込めなかったのです。

同時にいやーな重い気持ちが胸に広がり始めました。




「ママ?何してるの?」


末っ子の声で、ハッと我に返りました。


「ん?なんでもないよ」


そういって子供の方を振り返りました。


抱っこって手を伸ばしてきます。


腕に抱えて、いやな気持ちを吹き飛ばそうとぎゅっと目を閉じる。



恐る恐る右目だけ開けてみる・・・。


目の前のわが子の顔が灰色に塗りつぶされて見えない・・・。

「ママ、何してるの?」


血の気が引きました。

一瞬にして寒くなりました。


はっきりと自分の目に異変が起きている事を自覚した朝でした。