告白 町田康

 

明示26年5月25日

大阪府赤坂水辺村でおきた10人を殺害した事件をモチーフにした小説。

 

登場人物:城戸 熊太郎、谷弥五郎

 

思弁癖があり、ぐるぐる回る思考を表に出せない熊太郎。

「見えない笛を吹く練習をする」誰にも理解されない幼少期を過ごし、

大人になっても人から疎んぜられ、はみ出していく。

 

借金・侮辱・裏切り・暴力でキレた熊太郎は、

「正義のために」全員殺すことを決意。

 

殺害、からの逃亡。

 

自らの人生を振り返る熊太郎は、今まですべて人のせい・環境のせい・運のせいにしていたが、

実際は自分のことしか考えないエゴイストでしかなかったことに気づく。

 

本当にそうなのか。もう一度旨の奥深くを探ってみるが、、

何も無い。なんの言葉もなかった。

 

 

回りくどい町田節を延々800ページで、とにかく疲れたが、

町田節は嫌いじゃない。

町人や友人との(アホな)小気味よい会話と独特の方言は、軽快で楽しい。

押しかけた田島家の番頭とのやりとり、正味の節っちゃん、河童の清やんとの対峙から盛り上がり、

そこから破滅的なクライマックスまで怒涛の展開が、重いながらも面白かった。

 

ただ。。。幼少期に出てきて、大人になってからも熊太郎を苦しめる、

「葛木ドール」のエピソードが邪魔でしかない。

町田康の創作なんだが、意味がわからない割に熊太郎に大きな影響を与えすぎる。

でも結局なんの意味もないし、後半は登場しなくなり「臼」と「光る三角形」に奪われる。

結局何だったのこれ?