第6話「バーサーカー」
「…どう思う、クラード」
予定ポイントへ疾走しながら、バッシュはパーソナル回線を使いクラードに声をかけた。
「セイズのことか?」
クラードは正面を見据えたまま問い返した。
「どう考えても違和感があっただろ、アイツ」
「……確かに出撃前とはだいぶ印象が違ったな」
「だいぶどころか、ありゃ別人だぜ。まるで機械か何かと話してるみてーだった」
バッシュの言っていることはクラードも感じている事ではあった。
しかし、だからこそクラードは納得している事があった。
「おそらく強化措置の影響だろう。どちらのセイズが本来のモノなのかはわからんが、少なくとも今のセイズであれば、あの『化け物』のパイロットだと信じられもする」
「まぁ…確かにな」
だからクラードはセンターを任せたんだな…バッシュは納得した。
クラードが立てる作戦は常にギリギリだ。
一歩間違えれば確実に隊は全滅する。
しかし、彼の作戦はその「一歩」を間違えない。
人材・状況・タイミング…全てが成功する要素を満たしている条件下で実行するように、彼は作戦を立案する。
バッシュがクラードを信頼する要因となっている能力。
『ズバ抜けた指揮能力と作戦立案能力』
だからこそ最初は難色を示したこの作戦も、バッシュは受け入れたのである。
「足並みを揃えているとはいえ、あちらとこちらではかなり速力に差がある。最大戦速で行くぞ」
冷静なクラードの声に落ち着きを感じながら、バッシュは「あぁ」と応えた。
作戦開始から5分。
セイズは敵部隊を捕捉した。
24機のガルンヴェイラの機兵(メタルウォーリア):ジェネガイスト。
ガルンヴェイラの主力量産機であり、汎用型の機兵である。
性能的にはライオットに劣るものの、堅牢なフレーム構造と高いコストパフォーマンスを持つため、ガルンヴェイラの豊富な国力を生かした圧倒的な物量による集団戦を主とした機体である。
1対24。
普通ならまず勝負にならない。
しかし、セイズの瞳には恐怖も躊躇いもなかった。
それどころか、感情すらも感じさせない、機械的な眼差しであった。
「敵部隊を捕捉。これより作戦行動に移る」
瞳と同様の機械的な言葉と共に、セイズはゼラヴィルターのアクセルペダルを踏み込んだ。
4基のスパイラル・ブースターが火を吹き、殺人的な速度で間合いを詰める。
「なんだ!?」
「は、早い!」
あまりに予想外の速度に、ガルンヴェイラ側は動揺した。
たかが一機と侮っていただけに、その動揺は大きかった。
しかし、その動揺は次の瞬間さらに大きくなった。
ゼラヴィルターは大きく横に高速スライドしながら、正確に3機のジェネガイストを打ち抜いた。
それも一機に一発の銃撃だった。
「くっ、お、墜とせ!」
隊長機の一機が叫び、ガルンヴェイラ側は慌てて迎撃を始めた。
しかし、動揺と焦りの大きいジェネガイストの砲撃は、さながら瞬間移動のような速度で動くゼラヴィルターに擦りもしない。
猛然と突き進むゼラヴィルターとは裏腹に、セイズは実に冷静に状況を分析していた。
「残存機21機。敵戦力分析の結果、単機による殲滅は可能と判断。陽動行動を改め、これより殲滅戦に入る」
その言葉と同時に、ゼラヴィルターはさらにその速度を上げた。
最早常識外の速度に完全に撹乱されたガルンヴェイラに、ゼラヴィルターの進行を止める事は出来なかった。
あっという間に白兵戦距離に接近し、そのまま集団の中を通り過ぎるセイズ。
その刹那、進行ルートの左右にいた2機のジェネガイストの胴体が宙を舞った。
急旋回しながら再び近づく常識はずれの「化け物」。
ガルンヴェイラ側にあるのは「恐怖」の2文字であった。
「く、くるなぁー!!」
半狂乱になりながら機関銃を乱射するジェネガイストを撃ち貫き、セイズ再び白兵戦距離に近づいた。
その後の光景は。
斬る。
舞う。
斬る。
舞う。
斬る。
舞う。
この繰り返しであった。
「おい、クラード…!」
「ああ…」
ゼラヴィルターが敵部隊と接触した五分後。
2人は会敵予測地点に着いた…はずだった。
しかし、その場所には敵の姿はなく、あるのは機兵24機分の鉄屑の海に佇むゼラヴィルターが一機、佇んでいるだけだった。
「セイズ…」
クラードは初めてゼラヴィルターの戦闘を目撃した時の感覚を思い出していた。
味方の機兵に抱くはずのない感覚…這い上がるような冷たい感覚を。
それは、恐怖だった。
はい!今回はこれで終わりです(・∀・)ノ
戦闘シーンの描写は難しいです( ̄~ ̄;)
「ゼラヴィルター強すぎワロタww」的な感じが伝わればいいんですが(^∀^;
次はライバルキャラ登場か!?
それではこの辺で。
さよなら~ヾ(=^▽^=)ノ
「…どう思う、クラード」
予定ポイントへ疾走しながら、バッシュはパーソナル回線を使いクラードに声をかけた。
「セイズのことか?」
クラードは正面を見据えたまま問い返した。
「どう考えても違和感があっただろ、アイツ」
「……確かに出撃前とはだいぶ印象が違ったな」
「だいぶどころか、ありゃ別人だぜ。まるで機械か何かと話してるみてーだった」
バッシュの言っていることはクラードも感じている事ではあった。
しかし、だからこそクラードは納得している事があった。
「おそらく強化措置の影響だろう。どちらのセイズが本来のモノなのかはわからんが、少なくとも今のセイズであれば、あの『化け物』のパイロットだと信じられもする」
「まぁ…確かにな」
だからクラードはセンターを任せたんだな…バッシュは納得した。
クラードが立てる作戦は常にギリギリだ。
一歩間違えれば確実に隊は全滅する。
しかし、彼の作戦はその「一歩」を間違えない。
人材・状況・タイミング…全てが成功する要素を満たしている条件下で実行するように、彼は作戦を立案する。
バッシュがクラードを信頼する要因となっている能力。
『ズバ抜けた指揮能力と作戦立案能力』
だからこそ最初は難色を示したこの作戦も、バッシュは受け入れたのである。
「足並みを揃えているとはいえ、あちらとこちらではかなり速力に差がある。最大戦速で行くぞ」
冷静なクラードの声に落ち着きを感じながら、バッシュは「あぁ」と応えた。
作戦開始から5分。
セイズは敵部隊を捕捉した。
24機のガルンヴェイラの機兵(メタルウォーリア):ジェネガイスト。
ガルンヴェイラの主力量産機であり、汎用型の機兵である。
性能的にはライオットに劣るものの、堅牢なフレーム構造と高いコストパフォーマンスを持つため、ガルンヴェイラの豊富な国力を生かした圧倒的な物量による集団戦を主とした機体である。
1対24。
普通ならまず勝負にならない。
しかし、セイズの瞳には恐怖も躊躇いもなかった。
それどころか、感情すらも感じさせない、機械的な眼差しであった。
「敵部隊を捕捉。これより作戦行動に移る」
瞳と同様の機械的な言葉と共に、セイズはゼラヴィルターのアクセルペダルを踏み込んだ。
4基のスパイラル・ブースターが火を吹き、殺人的な速度で間合いを詰める。
「なんだ!?」
「は、早い!」
あまりに予想外の速度に、ガルンヴェイラ側は動揺した。
たかが一機と侮っていただけに、その動揺は大きかった。
しかし、その動揺は次の瞬間さらに大きくなった。
ゼラヴィルターは大きく横に高速スライドしながら、正確に3機のジェネガイストを打ち抜いた。
それも一機に一発の銃撃だった。
「くっ、お、墜とせ!」
隊長機の一機が叫び、ガルンヴェイラ側は慌てて迎撃を始めた。
しかし、動揺と焦りの大きいジェネガイストの砲撃は、さながら瞬間移動のような速度で動くゼラヴィルターに擦りもしない。
猛然と突き進むゼラヴィルターとは裏腹に、セイズは実に冷静に状況を分析していた。
「残存機21機。敵戦力分析の結果、単機による殲滅は可能と判断。陽動行動を改め、これより殲滅戦に入る」
その言葉と同時に、ゼラヴィルターはさらにその速度を上げた。
最早常識外の速度に完全に撹乱されたガルンヴェイラに、ゼラヴィルターの進行を止める事は出来なかった。
あっという間に白兵戦距離に接近し、そのまま集団の中を通り過ぎるセイズ。
その刹那、進行ルートの左右にいた2機のジェネガイストの胴体が宙を舞った。
急旋回しながら再び近づく常識はずれの「化け物」。
ガルンヴェイラ側にあるのは「恐怖」の2文字であった。
「く、くるなぁー!!」
半狂乱になりながら機関銃を乱射するジェネガイストを撃ち貫き、セイズ再び白兵戦距離に近づいた。
その後の光景は。
斬る。
舞う。
斬る。
舞う。
斬る。
舞う。
この繰り返しであった。
「おい、クラード…!」
「ああ…」
ゼラヴィルターが敵部隊と接触した五分後。
2人は会敵予測地点に着いた…はずだった。
しかし、その場所には敵の姿はなく、あるのは機兵24機分の鉄屑の海に佇むゼラヴィルターが一機、佇んでいるだけだった。
「セイズ…」
クラードは初めてゼラヴィルターの戦闘を目撃した時の感覚を思い出していた。
味方の機兵に抱くはずのない感覚…這い上がるような冷たい感覚を。
それは、恐怖だった。
はい!今回はこれで終わりです(・∀・)ノ
戦闘シーンの描写は難しいです( ̄~ ̄;)
「ゼラヴィルター強すぎワロタww」的な感じが伝わればいいんですが(^∀^;
次はライバルキャラ登場か!?
それではこの辺で。
さよなら~ヾ(=^▽^=)ノ