選択を科学的に考える
選択の科学を参考にしていますので面白いと思った方は是非読んでみてください!
選択の科学
「アリエールでしょ」これを思い浮かべた方もいるかもしれませんね。私が好きなのはシーナアイエンガーの本の方です。
●人生とは
彼女は
人生=選択×偶然×運命
「選択と偶然と運命の三元連立方程式」と題して、説いています。
人生は、選択と偶然と運命の3つから成り立っている、というわけです。
この3つの観点で人生をとらえるのならば、唯一「選択」だけが自分の意思でコントロール可能なのです。だからこそ、「選択」が人生において重要だということです。
「選択」においてですが、人は合理的に判断していると思いながらも、外部からの刺激において「無意識」の中で非合理的な判断をしてしまうことが多々あります。
例えば、これは著書ではないが、高齢者を連想させる言葉(年寄、忘れっぽい)を聞かせると無意識のうちに歩行速度が落ちる。他にもダンアリエリーの実験で、まず社会保険の下2桁を書いてから、いろんな品物を見せて、いくらなら払うかを学生に尋ねました。結果をみると、なんと社会保障番号の下2桁の数字が高い学生ほど、品物の値段を高く記入しました。しかも記入している学生は記入した数字が自分の答えに対して影響を及ぼしていることに気が付かず答えを導きます。最初に提示された数値(社会保障番号)がのちの値段に無意識の中で影響を及ぼす、アンカリング効果を証明した有名な実験です。
また、自分で選択できる人生と人から決められた人生どちらが良いかいうと大半の人は「自分で選択できる人生」だと思います。しかし、他人が決める方がうまくいくこともあり、「選択」という自分の人生を大きく変えるものについて一度考えてみる機会にはとても良い本だと思います。
●選択できる人生
例えば選択できる人生の方がよいというのは、残酷な実験ですが、こんなものがあります。
犬を二匹用意し、それぞれを白い箱に入れました。
箱に小さな穴を開け、二匹の犬をつなぎ、無害だけど不快な電気ショックを周期的に与えました。
一方の箱には、鼻で押せば電気ショックが止まるような設定をしたのに対し、もう一方の犬はどんなに動こうとも電気ショックが止まらないような設定をしました。
電気ショックは両方の犬に対して同時に始まり、ショックを止められる方の犬がショックを止めれば、二匹とも電気ショックは止まるようにしました。(どちらの電気ショックの量も同じということ)
ここでの違いは、
①自分の意思で電気ショックを止めることができる
②自分の意思では電気ショックを止めることができない
になります。
実験の二段階では、両方の犬を新しい状況において、電気ショックのコントロールの経験をどのように活かせるかを調べました。
低い壁で仕切られた箱を用意し、一方の部屋に犬を入れました。
犬の部屋の床は定期的に電流を流し、低い壁で仕切られたもう一つの部屋では電流は流しません。
前の実験で電気ショックを止める術を学んだ犬は、すぐに低い壁を飛び越えて電流を回避する方法を見つけたのに対し、ショックを止めることができなかった犬の3分の2が、“ただじっと横たわって苦しみ続けた”のです。
さらに、他の犬が壁を飛び越えるところを見ても、
研究者たちに向こう側に引きずっていかれ、ショックを回避できることを教えられても、
犬たちは諦めて苦痛に耐えるばかりだったのです。
自己決定権を維持できないとき、私たちは無力感、喪失感を覚え、何もできなくなってしまうのです。
著者は選択についてこう記しています。
選択とは、「自分の力で変えられる」という認識を持ち、選択したいという欲求を持つとのことです。
私はスピリチュアル的な観点はあまり興味がありませんが、これが一種「思考が現実になる」という考えに近いのかもしれません。選択肢すらないとあきらめるしかなくなってしまいます。
●選択肢がない幸せ
しかし、ある点では「選択があること」が必ずしも良いとは限らないという結果もあります。例えばインドでは、75%がお見合い結婚を選びます。日本人の感覚からすると恋愛結婚が当たり前だし、その方が幸せな生活を送れると思ってしまいます。しかし、結婚後の幸福度調査によると、恋愛結婚をした人は時間の経過とともに幸福度は下がり、逆にお見合い結婚をした人の幸福度は上がっていく傾向がみられています。
取り決め婚の場合は共通の価値観や目標を持った二人が引き合わせられるからルームメイトや仕事仲間が友人の間に育まれるような絆が生まれるのではないかと思います。また、お互いに出会って間もなく、過度な期待はないからこそ嫌な側面を見ても譲歩しあうことができ上手くいく。しかし、恋愛婚は一時の大きく揺らぐ感情に基づく結果のことが多いと思われます。恋愛とは人間の錯覚現象なので過度な期待と高揚感から覚めてしまったときに不満になってしまうのかと思います。恋愛の科学については中野信子さんの本が参考になりました。
もう一つの例です。重い話ですが、「我が子の延命治療を続けるべきか?」についてです。
延命治療を中止すれば確実に死に、延命治療を続けても死ぬ、もしくは重い障害が残る(意識が戻らないまま寝たきりなど)場合、あなたはどうしたいですか?
幼子を延命治療中止後になくした経験のあるアメリカ人とフランス人を調査しました。
アメリカでは延命治療の中止は親が決定します。
フランスでは、親がはっきりとした意義を申し立てない限り、医師が決定します。
もちろんどちらの集団も心を痛めていますが、一方の集団が他方よりうまく対処しているように思われます。
フランスの親たちの多くが、「こうするしかなかった」という確信を口にし、アメリカの親たちの方が「こうだったかもしれない」、「こうすべきだったかもしれない」という思いにとらわれてしまったのです。
フランス人の親たちは、誰一人として自分や医師を責めなかったそうです。“何かを決断する”というのは、選択の代償を受けることもあります。
「選択を放棄する選択」も必要なのかもしれません。
●選択肢が多い困惑
また「選択肢の数が多い」ことが必ずしも良いとも限りません。とても有名な「買い物客とジャムの研究」があります。24種類を揃えた売り場と、6種類に絞ったジャムの売り場で比較実験します。前者は買い物客の60%が試食をしましたが、後者は40%でした。しかし、売り上げで考えると前者は後者の10分の1の売り上げしか上がりませんでした。つまり、選択肢が多すぎることは混乱を引き起こし、購買という選択に至らないのです。
この考えを実際に試し、P&Gが26種類の老け防止シャンプーを15種類にしたところ売り上げは10%も跳ね上がりました。同様にゴールデンキャップコーポレーションは猫用トイレを10種類廃止することで12%売り上げを伸ばしたという。
ちなみに非常に多数の選択肢から選びぬくには専門知識を身に着けると対処することができる。専門知識があれば一つ一つの選択肢を細かい部分まで認識し様々な特性の総体として理解できるからである。例えば同じ事象を見てもみる人の専門知識によっては「車」「スポーツカー」「V12型エンジン搭載フェラーリエンツォ」という風に受け止め方が変わってくるのです。
●まとめ
選択は自分の人生を切り開く大きなカギになると思います。「選択肢は多ければよい」、「自分の人生は自分で切り開いたほうが幸せだ」などの思い込みは実際の幸福度とは逆だったケースもあることを認識させられる本でした。中でもここでは記載しませんでしたがアジアとアメリカの違いは面白かったです。心理学や行動経済学は統計からものが言われますが、その統計対象がアジア人なのかアメリカなのかヨーロッパなのかによって異なる部分が出てくるということがはっきり理解できました。その点、日本での研究は中々ないからこそ注意して読まなければいけない部分かと思っています。(共通する部分もあると思います)
また、選択の科学だけに問わず、心理学や行動経済学などの論文の結果は日常でよく見かけることが多いから非常に面白いし、何かの事象について人と違う着眼点で見ることができます。例えば、選択肢が多くて選べないケースでいうと、かっこいい人やお金持ちでモテる人ほど中々結婚していないという例です。そういった話を耳にするたびに多くの人はどう思うのかはわかりませんが、私は「ジャムだ」と思っています。選択肢が多すぎるから選べないのかと。この解決策として専門性を高めると・・・、ただ、テストステロンの関係でそのままの方がビジネスパートナーとしては仕事の効率が・・・など。
このように日常生活で起きている事象ついて、「これは行動経済学におけるこの事象なのかもしれない、あの人はバイアスにかかっているな~」など考えるのは非常に面白いのでこの分野にはまっています。お勧めの本あったら教えてください♪
