硬い、硬いと評判(?)のブーツを購入してみました。

今の所9人分のサンプルしかありませんが、6人が「使い辛い」「乗る位置が違う」「難しい」などネガティブな印象。

ポジティブ・あるいは問題無しという印象の3人のうち二人がレディスモデルで、一人がウォークモードでしか使わないという人でした。

 

以下私の印象を書いてみます。

ブーツの作り自体は薄くコンパクトで、試し履きではフィット感や軽さでなかなかの好印象。

ショップで履いて思わず買ってしまった人も多かったのではないでしょうか。

 

バックルやパワーベルト、リーシュ取り付け金具もかなり使いやすくなっています。

スキーモード切り替え金具も悪くない。

防水性もそこそこ。

ソールも歩きやすそう(後で分かるのですが以前のものに比べて結構スリッピー)。

斜めだった前方の蛇腹は真横に向きを変えなんだか前の方で曲がる感じになって残念なのですが、蛇腹より足首が曲がること優先なのでここは許容。

 

そして何より62°の動きを確保したウォークモードは画期的です。

 

ATブーツのノウハウを詰め込んだ・・・・と言えば聞こえは良いのですが、ATブーツに蛇腹を入れてみました的な進化を評価すべきか?

それは雪上で使ってみなければ分かりません。

 

購入後早速雪上で使ってみました。

あれ?やっぱり硬い。

BDとかクリスピーの試乗で硬いブーツは経験したことがありますが、スカルパでこんなものが登場するとは・・・。

 

滑ってみます。

プラブーツだから当然とは言え、カフ前方からの無用なレベルの押し返しが気になります。

タングからの抵抗が大きいなという感じです。

そしてそれに対抗するためでしょうが、踵が上がりにくく作られています。

勿論蛇腹で曲げるなら踵は簡単に上がります。

蛇腹は普通に柔らかで、これは使い込む程ぐにゃぐにゃになりそうです。

しかし、足首をしっかり入れながら結果として上がるという滑り方では、実に固いブーツです。

蛇腹一足首バランスが自分に合っていないのかも知れません。

最近の外国人に多い先に蛇腹を潰してからブーツ全体を押さえつける滑りには合っているのかも知れませんが、やろうと思わないので分からないところです。

踵の上がりにくさはソールの硬さなどから来るものでしょうが、結果デジタルな動きが出やすくなります。

また、後ろに乗った状態から前に乗るような加重移動の大きな滑りをすると、立ち上がり時踵が強烈に落ちようとするので後板が急に前に移動する動きが出やすくなります。

結果瞬間後傾ニュートラルというお粗末な動きが出てしまうことさえありました。

さっさとアルペンポジション取りましょうぜとブーツに言われている気がします。

結果テレマーク独特の前後に開いた板の自由奔放さを出すのが難しい。

ニュートラルから足が開かれていった結果板に乗れる理想的なポジションに落ち着く・・・・という部分に自由度が小さく、小技では無く力で乗る必要が有るのかも知れません。

これは両脚共に圧に耐えられるポジションをつくり、つっかえ棒が拡がるように使う。

つまり開く迄50-50の均等加重を崩さないという事ですが、どうしてもブーツが固いと後ろに多く乗ってしまい動きの中での反発で乱される失敗をしがちです。

50-50で押さえつけるのは重心ど真ん中という事でもありますが、骨で後ブーツを押さえようとすると、板が後ろに逃げる仰け反りが出る可能性が高まります。

これは上体の前傾が必要であると言うことでもあります。

何だかアルペンスキー的になって嫌だというテレマークスキーヤーも多いでしょうね。

 

良いところを書いてみます。

乗り手は前方からの押さえ込みに対抗してブーツを上から押さえる乗り方をするようになるはずです。

この時かなり前に乗っても踵が上がらない安心感があります。

当たり前過ぎる話ですが、押さえつけて滑るターン大好きスキーヤーに向いています。

落下大好きスキーヤーは「アレ」で何とかなる…かもです。

前圧が強くかけられこれを維持することが容易になるので、スキー板の性能を引き出しやすくなります。

基礎板やレース板、あるいは太い板などを雪面に押さえつける滑りができるので、ターン中心の滑りには確かに向いています。

高速・急斜面・ハードバーンではこれはとても有難い性質です。

これを履いている人は、硬いバーンで硬い板で飛ばしてもらえれば良いかと思います。

 

しかし重い雪・引っかかる雪では膝等を痛める心配が出てきて臆病な自分にはデメリットしか見えませんでした。

急激な圧変化をきっともろに受けてしまうと思います。

山で使うのは今の所かなり怖い気がします。

 

急激な圧変化をモロに受けてしまうという点ではやはりコブ滑りもダメダメでした。

中低速でのコブでは何か特殊な技術が必要な気がします。

 

気温がとても高い日はそこそこ普通のブーツになるのですが、寒い時ほどこの性質は顕著になります。

 

道具の説明で技術的な話はしたくなかったのですが、今回ばかりはどうやって使うべきなのが私見を書いてみます。

まず「前足後ろ足」というイメージはない方が良いでしょう。

足を前後に開いたテレマークポジションをとりつつ乗りどころを見つけるというのはなかなか難しいと思います。

無垢な滑り方で使うブーツではないかと思います。

つまり直滑降です。

ブーツに前圧がすぐにかけられるようにパワーポジションで直滑降をする。

ここから足裏を少し動かして角づけからエッジングを始めターンにする。

直滑降からの板の左右ローリングだけでつくるターン作法です。

乗りどころは縦ではなく横で決めると楽になりますが、これは整地でないと難しい場合が出てきます。

整地で練習しましょう。

ニュートラルでバランスを整えて両板均等エッジングで板に近い方から動かしてターン・・・・ということなので、アルペンスキーヤーには分かりやすい道具なのかも知れません。

また逆にツーステップターンの加重移動感覚で乗るのも手かと思います。

はっきり交互操作か完璧な同時操作か、どちらも良いと思いますが中途半端は難しい道具と感じました。

 

前圧をかけ続けるべきブーツなので、切り替えでテレマークっぽく優雅に立ち上がりすぎると煽られる心配があります。

ここはずっと前に乗るイメージでいきましょう。

力ではなく腰のポジショニングで。

また圧を保つため外向傾も要求されると思います。

ローテーション技術では後半上に持っていかれるかも知れません。

 

緩斜面低速・・・・のように落とす技術が重要な場面では極端にターン寄りの性能この道具は嫌になる程気を使います。

テレマークの得意技が封じられかねません。

そういう意味でもアルペン寄りのブーツで、旧TXproとは別物です。

 

ブーツの前傾角度は買った段階で一番小さくなっていると思います。

もしかしたら大きくすることで活路が見出されるかも知れませんが、まだ試していません。

 

追記

 

禁断のウォークモードですが、素晴らしいと思います。

 

革靴経験のある方なら分かると思いますが、ポジションが自動的に決まります。

しかもそこから前後居たい場所に自由に動けます。

板はあまり太くない方が良いですね。

今回はこんなブーツが出てきてハッピーだと思いました。

前後自由で左右しっかりって、これぞ以前から考えていた理想のテレマークブーツではないでしょうか。

 

滑っている途中カタッカタッと音がしますので、これで滑ると簡単に壊れてしまうかも知れませんが、

重さのある悪雪では膝を壊すより安上がりですのでこちらに変えて滑るつもりです。

コブもこちらモードが良いのですが、やってたら本当に壊すかもですね。

 

 

最初に乗った時の動画です。GS板を使っています。

 

 

62°モードです。山板です。