　沢井製薬（4555）など後発医薬品各社が２２日以降、有力な後発医薬品を相次ぎ発売する。米メルクの子会社、ＭＳＤの高血圧治療薬など３製品では、それぞれ約３０社が取り扱う。

政府の使用促進策も追い風となり市場拡大が見込めるため、専業に加えて新薬開発が中心の製薬会社も参入。特許切れの大型薬の後発薬に各社が集中する傾向が鮮明になり、競争が激しくなりそうだ。

　このほど特許が切れた大型薬はＭＳＤの高血圧治療薬「ニューロタン」のほか、グラクソスミスクラインの抗うつ剤「パキシル」とアステラス製薬（4503）の不眠症治療薬「マイスリー」。

　ニューロタンの後発薬は３１社が９３品目、パキシルは２８社が７９品目、マイスリーは３２社が７２品目を発売する。厚生労働省から認可を得て６月以降に売り出される後発薬は合計５１９品目で、このうち３つの大型薬に絡む後発薬は合計２４４品目と約半分を占める。

　特定の大型薬に後発薬の発売が集中するのは、市場拡大が見込めるため。今回特許切れとなった３薬品の年間売上高はいずれも４００億円規模あり、後発薬に置き換われば追い風となる。

　ニューロタンは高血圧薬の中でも血圧を上昇させるホルモンを阻害するＡＲＢという主流タイプの一つ。同タイプの後発薬が出るのは初めてとあって、業界の期待は大きい。

　発売する製薬会社の顔ぶれも幅広い。沢井製薬、東和薬品（4553）、日医工（4541）といった後発薬の専業だけでなく、新薬系もこぞって販売する。

　ただ今年度の薬価制度改革では、多くの企業が集中して経口剤を発売する場合、その後発薬の薬価を通常以上に引き下げることとなった。その分、製薬会社の取り分は減り、より多くの数量を販売することが求められる。

　競合激化を背景に各社は服用のしやすさなど付加価値をつけて需要喚起を狙う。沢井はマイスリーの後発薬として、水なしで飲める「口腔（こうくう）内崩壊錠」を発売する。トイレの不安が小さくなるため、不眠症患者の需要は大きいとみている。

▼後発薬とは　　新薬の特許が切れた後に発売される割安な医薬品。後発薬やジェネリック医薬品とも呼ばれる。研究開発費が安く済むため価格は低く抑えられる。欧米などでは広く普及しているが、日本では医療用医薬品市場のうち後発薬のシェア（数量ベース）は２５％に満たない。そのため政府は薬剤費の抑制にむけて、後発薬の普及に力を入れている。

「パキシル」「マイスリー」に後発薬登場、活気づく市場