パナソニック（6752）はケータイやパソコンに使われる民生用リチウムイオン電池の国内工場を再編します。

来年末までに８カ所から４カ所に集約して、住之江工場の増産計画を中止。工場再編に伴い国内の人員削減に踏み切る。

その反面、中国での生産を拡大。３～４年後に１～２割の中国生産比率を５割程度に高める。製造コストを引き下げ、サムスングループなど韓国勢に対抗する。

パナソニックは中国で北京、無錫に続き３カ所目の工場を蘇州に建設中で、１２年４月に完成する。既存工場の生産能力も高め総投資額は５５０億円。

安価な部材を現地で調達して生産規模を拡大、製造コストを３割下げる。パナソニックはリチウムイオン電池を環境エネルギー分野を成長のけん引役と期待。

年間売上高は約３０００億円に達するが、韓国勢の猛追で収益力は低迷、生産コストの抜本的な改善が急務となった。

唯一の救いは、民生用より付加価値の高い車載用リチウムイオン電池は技術流出防止の観点から、国内生産を継続する方針。

はっきりした原因は不明だが、リチウムイオン電池は個体によってかなり差があることです。特に大容量の車載用となるとその差は大きくなり、電気自動車の性能に大きく影響してきます。

そうした中で旧山洋電機のリチウムイオン電池は個体差が少なく、信頼性は群を抜いている。

パナソニックが成長市場のリチウムイオン電池生産の中心を日本から中国にシフトすると発表。これに伴い同電池の素材メーカーなども連動して中国に生産拠点をシフトすることが考えられ、日本国内の産業空洞化がさらに広がる懸念がある。

この原因は民主党政権の無策が大きく影響している。円高、デフレ、高い法人税率、そして電力不足。有効な対策が打てないまま時間が経過、企業は生き残りのため海外に生産をシフト。

野田総理は民主党政権発足当初から財務副大臣、財務大臣、総理と常に政権の中枢にいる。この２年間、手をこまねいて何の対策も打ち出していないのは、同氏の政治家としての能力がないと指摘されても仕方ない。

▼リチウムイオン電池　　正極と負極の２つの電極の間にセパレーターをはさみ、
内部を浸す電解液を通じてリチウムイオンが行き来することで充放電を繰り返す電池。

ニッケル水素電池などに比べて高出力・大容量なのが特徴。
１９９１年にソニーが世界で初めて実用化して以来、三洋電機やパナソニックなど日本勢の独壇場だったが、韓国勢や中国勢が急速にシェアを拡大している。

現在はは携帯電話やノートパソコン、デジタルカメラなど幅広い電子機器向けが中心だが、将来は電気自動車（ＥＶ）等の環境対応車や、風力や太陽光など電力供給が不安定な自然エネルギーをためる蓄電システム用が普及の中心となる見込み。

パナソニック、リチウムイオン電池の生産、中国シフト