むかーしむかし。
あるところにおじいさんとおばあさんがいました。

おじいさんは山へキノコ狩りに
おばあさんは川へ水泳に行きました。

おじいさんとおばあさんには子供がなく

二人はそれぞれの時間を楽しんでいました。

ある日おじいさんが
いつものように山へ出掛けて行くと

一ヶ所だけピカピカ光っている場所がある事に
気づきました。

近づいて見るとそこには

可愛らしい女の子が眠っていました。


おじいさんは一人にしておくのには
可愛そうと思い家へ連れて帰る事にしました。


家へ帰りおばあさんに
事のすべてを話すと

おばあさんは
「私たちで育てましょう」と提案し
おじいさんと女の子を
育てる事にしました。

女の子の名を「ヒカリ」と名付けました。

ヒカリはおじいさん達からの愛情をたくさん受けて
すくすく育ち

それはそれは美しい女性に成長しました。

ある夜の事です。
ヒカリはおじいさんとおばあさんに
こんな話をしました。


私は、二人の本当の子ではない事を知っています。
私は私を拾い、
育ててくれた二人に
とても感謝をしています。
そこで1つお願いがあります。
今宵は月が満月になります。
その間まで私と親子を続けて下さい。
明日(みょうにち)になったら
私はこの家を出て
あなた方と縁を切ります。
それから私は一人立ちします。
私はもう18です。
いつまでもお二人を頼って生きて行く訳にはいきません。
ですからこれからは自分の力で生きていきます。




おじいさんとおばあさんは
ヒカリがこんな話をした事に驚きを隠せませんでしたが

自分の意志で決めた事に対してヒカリを応援する事にしました。


一人でなんて言わないで
なにかあった時は
いつでも帰って来なさい。
いつでも歓迎するから。
それが嫌なら手紙書きなさい。
返事は必ず出すから。
体に気を付けなさいね。
無理は絶対してはいけないよ。
約束だからね。



そう言って二人は
ヒカリを暖かく見送ってあげました。


ヒカリは泣きながら


 
長い間お世話になりました。
お二人もどうぞお体に気を付けて。
ありがとう。

と旅立って行きました。