オスカル・フランソワさまのモノローグ。

 

(※『☆新たなる地獄への旅立ち➊【腹を、括る】』と対(ツイン)をなしております)

 

『新たなる地獄への旅立ち➊【腹を、括る】』で、

「おまえなあ、ばらの花びらを食べるのは程々にしておけよ」と、

彼に言われたオスカルさまがぶんむくれて駆け出したのを見て、

↓のように、グランディエさんは独りごちていますが、

↓実は、オスカルさまのオトメ心

ちぃ~っとも、ワカっちゃいなかったのですねー (/ω\)

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 "ふう、おれってヤツは、なんだってこんなにおまえをワカッテルんだ”

 

 

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「一緒にばらを見に行こう」
おまえにそう言うなら今だ…と、兵舎の廊下を歩きながら思った。

 

隊員連中は、朝の訓練を終えて食堂や宿舎でノビている筈だし、
念のために、左90度から右90度まで素早く目を走らせたが、
この廊下のまわりに邪魔モノは見当たらない。

 

後ろはおまえがいるから振り返ってチェックするわけにいかないが、
わたしとおまえの足音しかしないから、おそらく大丈夫だ。
...というか、不思議なほど足音が重なっているから、
自分しか歩いていないような錯覚すら覚える。

 

わたしが出仕し始めてからほぼ20年…になろうか、
おまえ…気の遠くなる程の年月を
そうやって空気に徹してきたのだな...
今は、とても空気とはいえないほど濃くて、
熱っぽい磁力でわたしを捉えて離さないが───

 

いや、今はそんな感傷に浸っている場合ではない。
深呼吸してカウントダウンを始める。3、2、1───

 

エイッと振り返って、おまえを見上げた。
「……レ。アンドレっ🎵」


うわっ!子供のような上ずったこの声は…わ、わたしが出したのか?
もう1回深呼吸しなくては!

 

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...ん? ...え?
おまえ…わたしを見ているのに、わたしを通り越して、
何か遠いものを追うような眼をしている...
一体、何を...?
「あ...ア、アンド…レ!?」

 

思わず呼びかけると、おまえのまなざしが戻ってきて、
まっすぐわたしを見つめ返してくれた。
よかった、わたしのもとに戻ってきてくれて...

 

「ん? なんだ、オスカル?」
やわらかなほほえみを湛えて、わたしを見下ろしてくれる。
子供の頃から、わたしはこのほほえみが大好きだった。

 

「あ... あ、うん。屋敷の南庭の白いばらが
今日明日あたり満開になりそうだぞ。
帰ったら見に行かないか、ワインでも持って」

 

ああっ、言えた!
物欲しげでなく、さりげなく言えただろうか?
...しかし、こんなたったひとことをおまえに告げるために、
どうしてわたしはこんなに緊張して四苦八苦しているのだろう...

 

「ああ、南庭のあの子達だろ? おれもゆうべ気がついた。
ちょうど、今日も会いに行きたいと思ってたところだ」

 

「ふふ、やはり気がついていたか。
おまえ、白いばらがいちばん好きだものな」

 

だから、昨日、わたしは花びらを無碍に抜き取ったりできなかったのだ。

 

「あっ。けどな、オスカル」
「うん?」

 

「おまえなあ、ばらの花びらを食べるのは程々にしておけよ」

 

 

えっっ!? おまえ、おまえっっ!!
ばかばかばか! なんでそんなことが言えるのだ!!
今さっき、〝おまえは白いばらがいちばん好きなことを、
わたしはちゃんと知っているぞ〟と、言ってやったばかりではないか!

だったら、わたしがその花を食べたりできないことくらい、
おまえならわかりそうなものだろうが!
もっとわたしのことをわかっていると思っていたのに、
見損なったぞ、このニブチンめ!!

 

「なっ! ばっ、ばか。

わっ、わたしがおまえの好きな花にそんなことするものか!」

 

おまえの鈍感さが悔しくて、
わたしは、そう叫んでその場から駆け出してしまった。

 

 

 

 

『✿開花への新たなる旅立ち④ ≪どうにか約束成立💗≫』に続きます≫