私は短い期間だったけど、今住んでいるこの国のサロンチャンピオンのパートナだったことがある。
正式にパートナーとして、組んだ最初の人が国のサロンチャンピオンだ。

普段の生活は地味なのに、タンゴに関してだけは、私の人生はやたらドラマチックだ


踊り始めて3か月で最初のデモを踊った。

彼の踊りは素晴らしく、曲が変われば踊り方も変えられる、まるで、10曲彼と踊れば、10人違う人と踊っているかのごとく、踊りを的確に変化させることのできる人だった。

二人で踊るのが楽しくて、1日5時間踊り続けるなんて、しょっちゅうあった。


私たちは、大変踊りの相性も良く、運命だと思っていた。

「10年間君を探していた」と、彼は言ってくれた。


彼との踊りのコネクションは深く、前世でもきっとどこかで踊っていたに違いない、そう確信していた。


ところが、私はその彼のパートナーとしての地位を自ら断った。

その判断は間違っていなかったと、今は言える。

理由は1つ。
彼の人格に、尊敬できない点があったのだ。

彼は、私には紳士的でとても優しかったのだけど、彼の周りにいる女性たちにとても失礼な態度を取り、時にはひどいことを言って、泣かせているのを何度か見てしまったのが、理由だ。

一番ショックだったのは、彼と踊りたいと言った初心者の女の子を
「俺は上級者としか踊らないんだ!」といって、私の目の前で泣かせたこと。


これで、私の中の何かがぶちぎれた!!!

私の初心者時代が恵まれ過ぎていただけかもしれないけど、先生も、同じクラスの上級生もみんな、初心者の私に胸を貸してくれた。


楽しくて楽しくて、今でもあのタンゴを始めた1年目を、タイムスリップして同じ体験をしたいと願うほど、楽しかった。



私は、タンゴのコンテストに疑問を持っている。
特にサロンは、個性が現れる。

チューリップと、バラがどちらが素晴らしい花か、誰が順番を決めれれるのだろう?

みんな、それぞれに美しい。みんなが、みんな、自分の踊りを持っている。

もちろん、チャンピオンとして輝いた素晴らしいダンサーもたくさん知っている。

2009年のサロンチャンピオン山尾ご夫妻の、優勝の決まった瞬間のYOU TUBEは、何度見ても泣かされる。

お二人が、自分たちの限界に挑んで、頂点に上り詰めたのだなと思わせる、神々しいものを感じさせる。

(ちなみにあの日、私はルナパークにいたのに、気温5度のブエノスアイレスで、素っ裸で昼寝して風邪ひいた旦那さんのおかげで、あの瞬間に立ち会うことなく、会場を後にしている。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。)
いつか、山尾ご夫妻にお会いしてみたい。
あの日、私は会場にいたんですよ~!


その後数年、パートナーに恵まれず、彼の誘いを断った自分を後悔したこともちょっとあった。


だけど、そのおかげで、タンゴをもっと深く学ぶことが出来たと思う。

タンゴを自分がいかに好きなのかも、知ることが出来た。


そして、サロンは大好きだけど、サロンに限界があることも、わかってしまった。
これは、ある意味ショックでしたが。

でも、あのまま、ぬくぬくと、彼のパートナーというポジションでいたら、私は井の中の蛙になっていたと思う。

パートナーに、甘え、天狗になっていたのかも?と思うとゾッとする。




そして、いつの日か、その彼と、心からもう一度踊れる日が来たらいいな~とも、思う。

あんなに素晴らしい踊りをする彼が、彼の踊りと同じく、美しく清らかな心であってほしいと。


タンゴは会話なしに、お互いの全てを理解できるから。

きっとタンゴを愛する彼は、精神面での大切さもきっと気がついてくれると思う。
たまたま、精神面を置いてきたまま、先に技術が上達してしまったんだ。


この人生で、地球上のどこかのミロンガで、1曲でいいから、もう一度心からお互い尊敬し、尊重しあって踊りたいな。


そんな日が来るといいな。