私は最近、すぐに忘れる。
勉強して資格をとっても
勉強をしないとすぐに忘れる。
この前覚えた
美しい羽を持つ鳥の名前や
栄養素の名前
おいしいレストランの名前など
全部忘れる。
このままでは いつか自分の名前まで
忘れるのではないかと、少々慌てた。
しかし嫌な事は
いつまででも覚えていて
思い出すたび
自分をちくりちくりと刺す。
そんな中、頭の中にいる
記憶担当者の一人と
話をする機会があった。
私:せっかく覚えたことも
すぐに忘れてしまうのだけれど
どうしてかしら。
担当者:あー、しばらく使わないものは
要らないものとみなして 捨ててます。
私:勝手に捨てないでよ。
少しは取っておいてくれないと
覚えた意味がないでしょ。
担当者:そう言われましても、
年々 保管場所が狭くなっておりますので。
毎日大量の情報が 頭の中に流れ込んできて
頭の中は すぐにいっぱいになります。
必要な記憶が 探せなくなるので
不要物は 片っ端から 廃棄してます。
私:いったん覚えたことは
記憶の底にあるメモリーに
保存されるのではないの?
担当者:そうなのですが、
その深い場所にあるメモリーには
記憶の取っ手がついておりまして
それが無いとメモリーは
引き上げられないのです。
私:それはあなたが
捨ててしまうからでしょ。
担当者:ですから、長い間使われないので
不要と思いまして。
覚えたと思うと
人は 安心してしまうのですが
繰り返し思い出さないと
不要物行きになるのです。
私:嫌な事は、昔の事でも
ずっと覚えているけれど。
これこそ不要でしょ。
担当者:いえいえ
あなたは いつも何かある度に
その記憶を引き上げるので
必要な記憶とみなされ 保管されてます。
私:すぐに捨てて欲しいものは
ずっと保管されて、
欲しいものは 捨てられる。
どうしたらよいのかしら。
担当者:そうですね。
それでは 忘れたくないものは
一日に一度でも 思い出してみてください。
私:その思い出したい事を
忘れてしまうのよ。
担当者:それでは、メモ紙にキーワードでも
何でも書いて 目に触れさせてください。
そうすれば 必要な記憶とみなされ、
捨てられる事はありません。
私:分かりました。やってみます。
あと、嫌な記憶は 消して欲しいのだけれど。
担当者:考えないでください。
そうすれば不要な記憶とみなし 廃棄します。
私:それが難しいのよ。
考えたくなくても 考えてしまうから。
担当者:私からの提案ですが
嫌な事を考えた時に、
先ほどの 覚えておきたいメモを見て
その内容を考えてください。
最初は面倒でも、
毎日やれば 出来るようになります。
私:そうすれば 嫌な思い出は 消去され
覚えたい事は 保管されるのね。
担当者:過去の思い出は
良い事も悪い事も 将来に役立ちます。
しかし思い出は 記憶でしかなく
命あるものは皆
先に進んで行くしかありません。
私達、記憶担当員も
どろどろした 嫌な記憶を
毎回引き上げるのは、正直きついのです。
学びのエッセンスのみ留めて
あとは捨ててくれた方が 嬉しいです。
私達はいつも、あなたを応援しております。
私:そうね。
知らず知らずに 自分を痛めつけていたのね。
いつもありがとう。
これからもよろしくね。
最近よく物忘れしてしまうと思っている
あなたも、記憶担当者が、愛情をもって
毎日廃棄しているのかもしれません。