たまたま自分を見つけだしただけだ。
私の他にも同じような人はいると思うのです。
ただちょっと時期が早かっただけなんだよ。



私は田舎の道路の上に立っている。右を見れば、延々と続く田んぼしか見えない。左を見ると、自分の背中が見えた。

自分の背中?

人間は自分の裏側など知っているのだろうか。それは日常の生活では、ありえないことではないか。文を破綻せよ。

「きっとあれは私なんだろう。」
 
割り切るくらいの気持ちは、自分でも持っているつもりだ。こんな状況でも、まともな思考回路は残っているようだ。読者を破綻せよ。
 
 
 
 
しばらく歩いた。私は気付くのが早かったんだ。しばらく歩いた。大切なものとかそういうのではなく。しばらく歩いた。憂鬱な深夜一時。しばらく歩いた。私は。しばらく歩いた。
 
 
「私は笑っていたのです。」
 
 
人間を破綻せよ。
声が聞こえた。いつのまにか交差点まで来ていた。交差点のまんなか。地球の頂点。なにかのちゅうしん。そこに立っている人が話しかけてきた。
 
「私は笑っていたのですか?」
 
 
地球は破綻する。
 
主語と目的語。
 
そのちがいを語りつくした我々は勝利を。
 
 
 
 
 
他人を破綻せよ。
 
他人は破綻する。
 






「交差点を右に曲がろう。次の交差点は左。そのつぎに崩壊だな。!?、…」
 
 
 
 
すべてをはたんせよ。
タイル一枚一枚が、どのようにちりばめられたのかを考え始めてから、どれほど時間が経っただろうか。
一瞬のような、永遠のような時間が過ぎてしまったのか。時間というものは誰にも計れないと感じる。ただ一つ分かるのは、答えらしきものは見つかったということだ。きっと田植えをするように丁寧に、正確にタイルははりつけられたのだろう。 それを行ったのは怪物だろう。人間であって怪物なのだ。きっと。
 
大切なのはいつも。
 
 
 
 
人が崩れる。
 
 
 
 
 
大切なのはきっと。
  
 
 
 
 
 
荒削りな自分は崩れていき、ボロボロの肉体は砂になっていくのです。 何度も何度も空を見上げ、何度も何度も、タイルについて考えるのです。
 
過去の栄光を怪物は憎みます。
 
 
怪物は怪物を確認する。
私はいつからか一つの願望を持ち始めていたのです。

その願がいつか叶うだろうと、信じて生きています。しかしそれは私自らが手に入れようとしてできるものではないのです。 ただ待つことしかできない。だれか、だれか。

あの曲がり角から車が飛び出してこないだろうか、そして私を轢いてくれないだろうか。
私の願望とは、欠損願望です。
体の一部を失いたいのです。自分でやってしまっても、きっと満足できないでしょう。ららら。ららら。



欠けているほうが美しい。足りないからこそ美しい。満たそうとしていく過程が美しい。

そう思っているのが私だけでよかった。
大切なものは完成されてしまっているのです。