日本国憲法の三大原理の一つ、「国民主権」について、おはなしします。
「国民主権」とは、要は、「自分たちの国の方針は、自分たち国民で決められる」ということです。「民主主義」とも呼べます。
憲法の前文にも「主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」とあります。この言葉は、言い換えれば、「主権が国民に存しなければ、この憲法は確定できない」、つまり、この国においては、国のことを自ら決められるというのは、ものすごく大事で、不可欠であるということです。
知っておいてもらいたいのは、憲法で「国民主権」が規定されているからといって、この国が自動的に国民主権の国になるわけではありません。、「国民主権」が実現するためには、ある条件が必要不可欠なのです。
それは、「情報公開」です。国の大事なことや、政策決定のプロセス、どんな政策を行っているか、国民がしっかりと把握できていてはじめて、自分たちで自分の国のことについて決めることができるのです。
たとえば、旅行の行き先を決めるとき、北海道にするか、沖縄にするかは、旅先の特徴、予算、メリット、デメリットなど、情報が十分に与えられ、自由にいろんなことが調べられ、多くの意見を基に決めなければ、自分で選んで決めたとはいえないでしょう。
旅行会社の人に、気になることがあればすぐに聞けたり、あらかじめ起こるリスク等も包み隠さず正直に話してもらえるからより正しい判断ができるのです。
国のことも同じです。
だから、政府が情報を隠していたり、報道が政治の話題をあまり取り上げなかったりすることは、憲法の最も大事な要素がおろそかになる、重大な事態なのです。
報道や行政の役割は、人がある程度受動的であっても、自然と政府の情報を耳にすることができ、情報にアクセスできるということです。
本来であれば、黒塗りの文書なんてものは、旅行のパンフレットが不十分なのにもかかわらずに、旅行先を決めろなんていう理不尽なお話しで、あり得ない話なのです。
そんなパンフレットを見せてくる旅行会社で、自分の旅行先は決めないですよね?
自分が、政治に対して、十分な情報を持って投票先を決められているか、それが、この国が「国民主権」の国であるかどうかのチェックポイントです。
私は、日本の国民主権は崩壊し始めていると思います。なぜ、そう思うかは、また別の機会に。