シャープに迫るサムスンの脅威 「IGZO」優位性は1、2年で崩れる?
国内生産の縮小や液晶パネルの外部調達の拡大で収支を改善し、「止血」するのが精いっぱいだ。長引く円高や電気料金の値上げなどの逆風に加え、米アップルのテレビ参入という悪夢が現実のものになる不安も抱え、テレビの国内生産が消えてしまう事態が現実味を帯び始めている。
「今やテレビが(家電の)『顔』でしょうか?」。パナソニックの津賀一宏社長は都内で10月31日に開いた中間決算の発表会見で「脱テレビ」の姿勢を鮮明にし、かつて稼ぎ頭だったテレビを中核事業とみなしていないことを強調してみせた。津賀社長の宣言を待つまでもなく、2012年3月期に過去最悪の最終赤字を計上した3社は、元凶となったテレビ事業の縮小へと既にかじを切っている。
パナソニックは中間決算発表に合わせ、薄型テレビの今年度の販売計画を当初の1250万台から前年度比33%減の900万台に大きく下方修正。ソニーも「収益を重視する」(加藤優・最高財務責任者)として計画の1550万台を同26%減の1450万台に引き下げた。経営不振が著しいシャープは8月に、当初計画の1000万台から同35%減の800万台に見直している。
3社が事業縮小に踏み切ったのは、地上デジタル放送への完全移行や家電エコポイント制度でもたらされた特需の反動で、国内の需要が予想以上に落ち込んだためだ。サムスン電子など韓国勢の台頭で海外でのシェアを奪われた影響も大きい。薄型テレビはパネルなど必要な部材さえ集めれば、一定水準の品質を持つ製品に仕上げられる「コモディティ(汎用(はんよう)品)化」が進み、差別化が難しくなった。その分だけ価格下落に拍車がかかり、家電各社は利益確保が難しくなっている。
経営環境の悪化は今後も改善される見込みはなく、円高や電気料金の値上げも重なり、「国内生産を取り巻く状況は厳しい」(ソニーの中鉢良治副会長)。テレビ事業への依存度が高かった3社はリストラを加速せざるを得ない。パナソニックは、2000億円超を投じて兵庫県尼崎市に建設したプラズマパネルの最新鋭工場の稼働を11年度に停止。さらにプラズマパネルの開発投資の凍結も検討している。シャープも栃木県矢板市のテレビ組立工場を今後縮小する構えで、ソニーはサムスンとの液晶パネルの合弁事業を解消し、パネルの外部調達を拡大させている。
電子情報技術産業協会(JEITA)の予測では、薄型テレビの国内生産額は13年に前年比12%減の788億円と、直近のピークだった10年に比べて10分の1以下に落ち込む。一方で新興国向けなどの需要を見込み、海外拠点を含めた日本メーカーの世界での生産額は1%増の3兆887億円と推定。国内から海外に各社が軸足を移す状況を如実に表している。
国内市場での単価下落を補うため、3Dテレビを10年に投入したものの期待外れに終わり、各社は高級化路線に活路を見いだそうとしている。その代表例が、フルハイビジョン映像の約4倍の解像度を持つ「4K」テレビだ。もっとも、現状ではソニーの84型が168万円、13年2月に発売するシャープの60型も262万5000円と価格が高く、家庭への普及には時間がかかる。
次世代テレビ用のパネルと期待され、ソニーとパナソニックが共同開発に乗りだした「有機EL(エレクトロルミネッセンス)」も商品化のめどが立たず、救世主は見当たらない。さらに各社が戦々恐々とするのは、開発が噂される米アップルの新型テレビだ。アップルの前最高経営責任者(CEO)、スティーブ・ジョブズ氏が生前に「テレビを再発明する」と豪語した製品が登場すれば、その衝撃度は計り知れない。
国内メーカーの一部はテレビ生産の「自前主義」へのこだわりを捨て、東芝と日立製作所が12年に入って国内生産から相次いで撤退。日立は中国などの海外メーカーに生産を委託し、収益の改善につなげている。ソニーやパナソニック、シャープはいま、これ以上の売上高の減少を防ぐため「やめたくてもテレビをやめられない状況」(証券アナリスト)にある。ただ、国内需要の低迷が長引くのは確実なだけに、追随を余儀なくされる可能性も小さくない。(大柳聡庸)
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