(創作)あの人たちは今かつて、物知りだったために赤い×(バツ)がついたマスクをしていなければならない男がいた。この男がいるために、楽しいはずのクイズが台無しになるからだという。それより、はるか前には口許(くちもと)が魅力的だったがために、マスクをしていた女がいた。「私、キレイ?」自意識過剰な女に、男は恐れおののき立ち去る者が多かった。今、マスクをするのが当たり前になっている。彼らは、今どこかでなりを潜めている。目立たなくなったとはいえ、再び彼らのことを思い出す者も増えるだろう。(終わり)