人々が集まる場所があった。
そこは家ではなかった。
大部屋の病院だろうか。
真っ白なベットがいくつもきれいにならんでいて、人々は横になっていく。
枕元にあるイヤフォンを耳にはめると、人々は目をつぶり眠りについた。
眠りにつけないものは誰もいない。
彼らの胸にかけていたペンダントの赤いランプがやがて緑に変わった。
誰も挨拶もなく会話もなく、そこを出ていく。
言葉はすでに文字だけになっていたのだ。
人々は、充電式に生まれ変わってしまった。
その代わり、一日に一度ここに眠りに来なければならない。
どんな用事があろうとも、行かなければならないのだ。
食べる場所も眠る場所も必要がなくなった。
そこで事が足りるからだ。
そこから仕事や学校に向かえばよかった。
ベッドのサイズは決まっていたので、みんな同じ姿をしていた。
だが、それでは区別がつきにくいのでカバーと表する洋服を着ることは許可された。
今の人間は、スマホが未来の自分達のテストモデルだと気づいていない。(終わり)