旅人が、ある島に立ち寄った。
それは、かつてその旅人が、素通りした島であった。
「ようこそ、宝の島へ」
大きな看板が目立つ。
かつてこの島には、宝を探す人々でごった返していたという。
その宝を見つければ、島の人々の平穏が戻ると信じられていた。
だが、なかなか見つからなかった。
今では、その宝が現れた場所は、観光名所になっている。
その周辺には、その宝にちなんだ名前のおみやげを売る店や飲食店ができてにぎやかだが、それまではいたって静かな島だったという。
島の地図には、その宝が移動した道のりが赤い線で引かれ、同じ道を歩いてみることが出来る。
宝は移動していたのだ。
なかなか移動距離も長く、難易度は高い。
なんせ、この宝の話は、小説にもなったし映画化もされたのだ。
その宝を演じた俳優のファンが、この島を訪れ、映画のロケ地を訪問するのも当たり前だ。
まさか、あの逃走犯が最後にああいうことになるだなんて。
宝の話の結末を知らない人のために、ネタバレはよすことにする。(終わり)