もしかしたら、兄と同じように警察関係の仕事についた方がよかったのかもしれない。
だが、優秀な兄と絶対に比較されるに違いないのだ。
それならばと全然違う職業、ルポライターになったのだが。
現実の事件に関わる警察とは真逆、過去に関する歴史について、調べる仕事を選んだはずだった。
だが男が行く先々で、事件に遭遇してしまうのである。
知らんぷりしてもいいはずである。
だが、探らないとしょうがない性分なのだ。
これが血と言うものなんだろうか。
あまりにも警察に関わろうとするものだから、怪しまれる。
問い合わせすれば、無罪放免になるのは明らかだった。
それを少しばかり我慢すれば、事件を解決する自信はある。
旅をすれば出逢いもあるはずである。
ところが男は、事件の方が興味があるらしい。
未知なる女性と交流することで、新たな困難に合うのが怖いのである。
事件解決は他人に喜ばれるし、自分自身の欲求も満足できるのだ。
それを他人に現実逃避と言われても仕方がない。
いつまでも、その男は旅を続けるだろう。
例え家族が旅行先に追いかけてきても、現実問題からは逃げ続けるつもりだ。(終わり)