(創作)永遠の命 | ネムリ・モヤのブログ

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アートと旅と食を愛す孤高の仮面ライダー好き女

死神は、死にたがっていた男にこんな言葉をかけた。

「死ぬことは、簡単だ。

だが、永遠の命を持つことの方が難しいのだ。

それを試してみたいと思わないかね」

まさに、悪魔のささやきだった。

「どうすればいいんです?」

「肉体は、どうしても滅びてしまう。

だが、人々の記憶はどこかで残っているものだ」

「具体的には、どうすればいい?」

「世界中を旅して、すべての人と触れあうか…」

「あるいは?」

「いろんな役をして、記憶に残るかだな。

そのためには、舞台だけではなく、テレビやラジオなど、様々な媒体に露出しないといけない!」

「俺は、やりますよ!」

それから、数十年か経ち男は、死神に再び出会った。

「みんな俺のこと、いつまでも覚えてくれますかね」

「おまえの名前は忘れ去られても、おまえが演じた役に似た人物を見かければすぐ思い出すはずさ」

「よかった、これで俺も未練を残さないであの世に行ける」

「私が来たということは、未来永劫みんなに記憶させる事が、無事成功したと言うことだ」

「昔話の主人公のように、語り継がれていくんですね」

「人間が滅びなければ、だがな」

二人はまるで、友だちのように大笑いをした。

男は、文字通り一生懸命だった。

今や永遠の命など関係なかったのだ。(終わり)