個人情報保護について・・・
インターネットの普及に伴い便利で多機能の通信手段を持つようになり,いつでも,どこでも,さまざまな情報が手に入る世の中になりました。便利になった裏側に,情報を利用した犯罪もふえている現状にあると感じます。愛知県内における平成23年の振り込め詐欺の認知件数は369件,被害総額約6億2,932万円,24年には178件,被害総額は約3億8,162万円と減少はしていますが,未遂は依然多発傾向にあります。被害例を調べますと,市役所や社会保険事務所や税務署などの職員を語り,医療費や保険料,税金の還付金があり,還付するので郵便局やATMへ行ってくださいと誘導して,お金を振り込ませるという手口が多発傾向のようです。また,オレオレ詐欺と言われる孫,息子,弁護士,警察官等を装い,高齢者に泣きついたりおどしたりする詐欺被害もいまだ続いております。春日井市民の方からも,このような心当たりのないおかしな電話があったとよく耳にします。電話がかかってくるだけでも不快で,本当にやめてほしいことだと感じます。
このような詐欺犯罪に利用されているという情報を買い取る会社が存在しており,インターネットからも容易に探し当て,情報を売ることができます。平成24年8月までに警察が振り込め詐欺で検挙し押収した名簿は,全国で約63万人分にも至っているとのことです。リストには,高額納税者や株・FX投資利用者,高齢者や高額商品購入者などさまざまなリストが存在します。こういった名前や情報の流出によって詐欺被害に遭ってしまう確率も上がってしまいます。
そのほか,情報漏えいが事件に結びついてしまった例で,2012年11月6日に,神奈川県逗子市で発生したストーカー殺人事件があります。調査の依頼を受けた調査会社が被害女性の住所を聞き出すために,被害女性の夫を装って逗子市役所に電話をかけ,市役所職員に不要なコンピュータ操作をさせ,住所を特定させた事件です。情報には,納税課の男性職員のIDとパスワードでアクセスされていましたが,誰が調査会社側に対応したかは,市の調査で特定できなかったということです。情報の管理の甘さが浮き彫りになってしまった事件であると感じます。そのほかの例では,個人情報保護法の施行後,個人情報を漏えいされ,精神的苦痛を与えられたとして,慰謝料を自治体に請求する訴訟も起きております。京都府宇治市の住民基本台帳データ22万人分が情報買い取り業者に販売された事件があります。大阪高等裁判所では宇治市に対し,住民に1人当たり慰謝料1万円,弁護士手数料5,000円の損害賠償をするように命じる判決が出されました。実際に訴えた方は少数でしたが,22万人全ての方が訴えた場合,慰謝料だけでも22億円の支払い義務も生じたかもしれない事件です。この判例でもありますように,一歩情報が漏えいすれば,市民も自治体としても大きな損害が生じることが考えられます。
春日井の市民の方からこんな話をいただきました。別居の家族が亡くなり,喪主を務められた方の話ですが,その後,すぐに自宅宛てに郵便物や直接訪問,電話営業が頻繁に来るようになりました。香典返しだけでも7社からの問い合わせがあったそうです。ここで疑問なのが,故人の住所氏名は安易に特定できても,別居の喪主宅が判明するということは,葬儀会社,役所が何らかの情報漏えいをしているということではないかとの問い合わせをいただきました。葬儀会社は,自分のところの扱い物でもある香典返しの商品物に対し,同業他社にこの情報を流すことをするかも疑問です。そのほかの方からも同様に,営業電話が多く不審に思うという御意見を多数いただきました。本当に悲しむ時間がとれず,落胆しているときにセールスの嵐で迷惑に感じている御遺族がいるのですから,何社からもかかってくるのはやめてもらいたいことと感じます。また,別の市民の方からは,出産して4カ月から6カ月ほど経過すると,子ども向け教育教材のDMが届いたりします。子どもを出産して考えられるのは,出生届の提出と術後健診,予防接種のみであるとのことです。これに関しても同様の話を耳にすることも多く,子育て世代の中で不思議に思っている方が多くいらっしゃいます。
地方公務員は,地方公務員法において「職務上知り得た秘密を漏らしてはならない」と定められております。このようにリスクも高く,市役所関係者からの情報漏えいはまず考えられにくいことですが,情報漏えいが起こってしまったときには,さまざまな形で被害が広がってしまいます。情報管理の強化がより一層必要になっていると感じますが,市の関係機関を含め,情報管理の現状と対策についてお伺いします。