今日はカリフォルニアのとある町の夕暮れについて書く。
一本の電話が静かな俺の暮れ時をやぶった。
洗車。
読んで字のごとく車を洗うことだ。
受話器から流れてきたその言葉に俺は静かな暮れ時の終焉を感じた。
そう。

電話の用件ははこの男の洗車の手伝いだった。
しかし今日は珍しく車内の掃除機がけだけで勘弁してくれるそうだ。
まもなく自宅の前にこの男が車とともに颯爽と現れ、やむなく俺は洗車場へと連行された。

この日の洗車場はいつもと同様、多忙な日々を送る人々がちょいと寄り各々の愛車をゴシゴシしていた。
ところでこの男、無類のきれい好きと地元では恐れられ全盛期は週一で洗車していたほどのつわものだ。
洗車場につくや否や男は手馴れた手つきで座席のカバーをそそくさとはずし、有料掃除機にコインを詰め込む。
激しい音をたて掃除機が動き始めた。ワンコインで三分ほどしか動かないので時間との戦いなのだ。
男の顔が真剣になる。
次の瞬間。
男が動いた。

男の高速バーキューム術は数々の洗車をくぐりぬけてきたその男の生き様を鮮明に物語った。

止まらない。
もはやこの男の動きを目で追うなど愚かしいのだ。

続いて男はスピードを殺しもせず車内へとその矛先を向けた。
すさまじいスピードできれいになってゆく車内。
動いたらやばい。
動いたら俺もきれいにされちゃう。
その言葉だけが俺の頭の中を支配していた。
勘のいい方はそろそろお気づきだと思うが
俺写真ばっかとってさっきから一切手伝ってない。
そんなことを考えている間に男の約20分にわたる洗車は終わった。
満足そうに愛車に乗り込む男。
なんだか俺まで満足だ。(手伝ってねーけど)
その後、男の満足そうな笑顔とともに我々は洗車場を後にした。
「俺、来た意味あった?」という疑問が男の車の車輪とともに頭の中を回ったが
ふ、まぁいい
そんな疑問、男に頼んだらすぐに掃除機で吸い取ってくれるだろう。
そんなことを思いながら俺の静かな夕暮れは幕を閉じた。
dewa dewa. lil bear
