LUCKY STAR

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唯一無二のポップスターであるMadonnaの応援ブログです。Madonnaの記事が中心で翻訳記事も頑張って更新してます。

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Madonnaのアルバム『Madame X』より、


プロモーション・シングル"Dark Ballet"を紹介します。


 マドンナとミルウェイズの二人によって作詞&プロデュースされています。

 まずこの曲ができた経緯から。この曲を聞いた瞬間に私は「あっ、これBeautiful Gameだ」と思いました。"Beautiful Game"は『Madame X』が発売される前の未発表曲でした。ニューヨークにあるメトロポリタン美術館で毎年行われるMET Galaで「カソリック」がテーマだったさい、マドンナはそこでパフォーマンス・アーティストとしてイベントを盛り上げていました。そこで初めてパフォーマンスされたのが、”Beautiful Game”でした。その"Beautiful Game"にアレンジを加えて"Dark Ballet"に曲名を変えてアルバム収録へと至りました。

 曲の途中でピアノのソロが入り、曲調がが一気に変わるのが特徴的です。歌詞はマドンナの人生観や世界や社会への絶望や疑問とマドンナのイコンであるジャンヌ・ダルクについてです。「男の子みたいな服装もできるし、女の子みたいな服装もできる」という歌詞はマドンナの過去曲である"American Life"を彷彿とさせますね。意識をもって変革を起こそうとしてきた女性に投げかけられる家父長的な社会の冷たい視線や言葉に対して、ジャンヌ・ダルクをモデルにマドンナが反抗しているような歌詞です。(特に曲中にでてくるセリフ部分はマドンナがジャンヌ・ダルクになりきっているようです)

 歌詞は暗いですが、バレエ『くるみ割り人形』の一部が抜粋されたりと曲調が変調したりするユーモアに溢れた曲です。社会は人々に冷たいが、戦う価値がある。それでも人生は美しいとマドンナが言っているようにも聞こえます。



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Dark Ballet

それは美しい人生
でも心配はしていない
それは美しい夢
でも夢を手に入れた
男の子みたいな服装もできる
女の子みたいな服装もできる
美しい言葉を取っておいて
心配なんてしていないから

あなたの世界はあまりにも恥ずかしい
あなたの世界は名声にこだわりすぎるから
あなたの世界は苦しみがあふれているから
だってあなたの世界は
焼け落ちる

それは美しい計画
でも心配はしていない(oh yeah)
それは美しいゲーム
でも学ぶことはない
人々は私に黙っていろと言う(黙っていろ)
そうしないと火傷するかもしれない
美しい嘘をつき続ける
心配なんてしていないから

あなたの世界はあまりにも恥ずかしい
あなたの世界は名声にこだわりすぎるから
あなたの世界は苦しみがあふれているから
だってあなたの世界は
だってあなたの世界は

(セリフ)
私は言ったことの多くを実行しない
私は自分の愛する神を信じている
彼は英国と戦うために私を選んだ
ヴァージンだから愛のための闘いなんて知らないの
神様が味方をしてくれるから平気よ
あなたを信じているから何も怖くない
私の髪を切って、それを牢獄にいる私に投げつける
魔女呼ばわりして私を火あぶりにすればいい
全て大きな間違い
彼を疑うのは罪
私は屈したりしない

彼らは甘すぎる
私たちが彼らの罪に気付いていないと思っている
気付いていても行動する準備ができていないだけ
嵐は外じゃなくて私たちの中で起こっている
愛と孤独について教えてあげたい
でももう夜が更けてきた
シュプリームのパーカーをかぶっていても聞こえるでしょ
風がうなり始めているのを

それは美しい人生

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 もう一度MVを貼ります。MVはモノクロで作られており、アメリカのラッパー であるミッキー・ブランコが危機に瀕して焼かれるトランスジェンダーのジャンヌ・ダルク役を演じています。ビデオの冒頭で金のコルセットを身に着けているミッキが大聖堂で(マドンナがBlond Ambition Tourで身に着けていたものと同様)、男性に嘆願しますが、彼らに裏切られ最後は火あぶりの刑になります。(恐ろしいのが黒人男性の聖職者は涙を流しながら沈黙しています) そしてその火あぶりになった姿をベースをかぶった女性たちがこちらも沈黙しながらみています。この行為はそのまま歌詞の世界観を反映しています。これはこの家父長的で反トランス感情や人種差別的な世界で黒人のトランス女性としてのミッキが体験している世界がいかにジャンヌ・ダルクがたどってきた人生と同じであるかを我々に示しているようです。

 とてもメッセージ性が強く意義で溢れている意欲的な作品です。MVの最後はミッキーの言葉で締めくくられています。

「私はブラック、クィア、HIV陽性者として生きていた。でも、どんな侵害が襲い掛かろうと、自分の中にある希望に勝ったものはない」