J 「違憲判決で見る公職選挙法の変遷について」
私がこのテーマを選んだ理由は、昨年の今頃に令和3年の衆議院議員総選挙での一票の格差で違憲判決を認めたという記事を見て、この一票の格差は何故長らく問題として起こっているのかに興味を持ったからです。
そもそも一票の格差とは、選挙区割りによって一人一人の一票の価値が増減し、不平等となることです。
・衆議院の一票の格差
こうした一票の格差による選挙無効請求事件の歴史は古く、衆議院では昭和37年には東京高裁で選挙無効請求事件が棄却されていた。その後公職選挙法を改正して定数是正を行うも、この頃の日本は人口が増える真っ只中で、10年後には更に格差が広がり、再び改正をすることとなった。
この2年後に、最高裁判所が初めて一票の格差は違憲であると判断した最決昭51・4・14が起き、国会は一票の格差是正に本格的に取り組まなければならなくなった。
・参議院の一票の格差
参議院議員選挙では、昭和39年に選挙無効請求事件が高裁棄却されており、始まりの時点では衆議院議員総選挙と同じといえる。しかし参議院で違憲判決が下ったのは約30年後の大阪高判平5・12・16で、空白期間が目立っている。この頃になると参議院の一票の格差は6.59対1という到底平等はいえない数値になっており、国会が放置した結果というのがよく分かる。
・小選挙区制導入
こうした一進一退を繰り返し、1994年に日本でも小選挙区比例代表制が導入される。1選挙区につき1人を選出する方式で人口の差による格差を是正。
一方で参議院は三年ごとに半数改選という特殊性から小選挙区制は導入できず定数削減で対応するが、それでも対応しきれない点もあり、以降選挙無効請求事件が今日まで続く状態となる。
・一票の格差の原因
なぜ今日まで一票の格差という問題は続いてしまったのかというと大きな原因は3つある。1つ目は裁判所が介入に消極的な点、2つ目は国会が格差是正を怠っている点、3つ目は日本の人口は地域によって増減してるため自然と発生してしまう点
・結論
一票の格差を起こさない為には裁判所は過去の判例を基にせず違憲判決を早くに出し、国会は一票の格差是正に対して迅速に動くべきである。