台本の書き方上全ての不問キャラを男口調で書いていますが、女性が演じる場合は口調、一人称、好きに変えて頂いて構いませんし、ご自身の言いやすいお言葉(方言など)で演じて頂いても結構です。
アドリブに制限は一切ありません。ですが、共演者の方々リスナーの皆さんに迷惑のかからない範囲で、自己責任でお願いします。
【拝啓、親愛なる】
佐藤 亜矢(サトウ アヤ)・♀
コンポ:タージュ・不問
コンポ:ンマソ・♂
亜矢M
「拝啓、親愛なるお母さんへ。私は今……」
タージュ
「ママ!」
亜矢M
「見知らぬ外国人の年下からママ呼ばわりされています」
タージュ
「ママ!僕だよ!」
亜矢
「いい加減にして!私はあなたのママじゃないって!まだ学生だし!」
タージュ
「僕だよ、タージュだよ!」
亜矢
「知らない知らない全く聞き覚えがない。なに、なんなの?」
タージュ
「佐藤亜矢、10月25日生まれ、左利きのさそり座、中学高校時代は陸上の選手でインターハイにも出てる、大学卒業後の進路は広告代理店への就職を希望!」
亜矢
「え……な、なんで私のそんな事を……」
タージュ
「僕は、未来から来たんだ」
亜矢
「……はい?」
タージュ
「あなたは大学の卒業を控え、長期の休みを利用してアフリカへ海外旅行に行く」
亜矢
「あ、当たってる……」
タージュ
「自分探しという薄っぺらい理由で」
亜矢
「良いでしょ別に自由でしょ」
タージュ
「ここまでは信じてくれた?」
亜矢
「え、ええ……もしかしたら……って言うのが心に浮かんでる……」
タージュ
「ここからが本題だよ。そして旅先で出会った民族の人間と恋に落ち、そのまま日本に帰らず結婚してしまうんだ!」
亜矢
「え、ええええ!?」
タージュ
「それから一年後、二人の間に生まれたのが僕だ」
亜矢
「う、嘘でしょ!?」
タージュ
「本当だよ。僕はアフリカのコンポ族と日本人との間に生まれた、コンポ:タージュだ!」
亜矢
「なにその美味しそうな名前」
タージュ
「ママが付けてくれたんだけど……」
亜矢
「えぇ……私……?た、たぶんお腹空いてたのかな……」
タージュ
「そんな理由で子供に名前付けないでよ。日本のキラキラネームより酷いよ」
亜矢
「ご、ごめん……ていうかそれなら出会い頭に僕だよって言われても分かるわけないでしょ!」
タージュ
「ごめん、ちょっとバイブス上がっちゃって」
亜矢
「せめてテンションって言って。クラブのノリで話さないで」
タージュ
「僕はママを止めに来たんだ」
亜矢
「はい?」
タージュ
「ママと殿の結婚を止めに来たんだ」
亜矢
「君、父親のこと殿って言ってんの」
タージュ
「ママもそう呼んでるよ」
亜矢
「私の育て方クソだな」
タージュ
「ママ!今すぐ旅行を中止するんだ!そうじゃないと、ママは……!」
亜矢
「いや、でも……」
タージュ
「飛行機のチケットもキャンセルするんだ!」
亜矢
「ここ、アフリカだけど……」
タージュ
「え?」
亜矢
「それで今日は、コンポ族の人の家に泊めてもらう事になってるけど……」
タージュ
「あぁ……そう……」
亜矢
「うん……」
タージュ
「……」
亜矢
「……」
タージュ
「ママ!僕だよ!」
亜矢
「出会いからやり直そうとしないで」
タージュ
「遅かったかあああああ!」
亜矢
「な、何をそんなにショック受けてるの。ビックリしたけど……私は別に悪くないよ。旅先で出会って結婚……それも、私の人生なのかもね」
タージュ
「自分にゲロ吐くほど酔ってる場合じゃないよ!」
亜矢
「そんなに酔ってた!?」
タージュ
「殿と結婚したママは……ママは……!」
亜矢
「未来の私が……!?」
タージュ
「もう……助からないほど、重症なんだ……!」
亜矢
「ま、まさか、何か病気に……?」
タージュ
「とんでもない……ホームシックにかかってしまうんだ……!」
亜矢
「なんだそれ」
タージュ
「いや凄いんだよ!口を開けば地元の駅がどうとか、乗り継いだら都心に行けるとか、快速は止まらないとか!」
亜矢
「電車のことしか言ってないな!そんなに地元の電車に興味無いから!」
タージュ
「送りもしない実家への手紙も書いては僕に読ませ書いては僕に読ませの繰り返しさ!」
亜矢
「えぇ……未来の私面倒くさっ」
タージュ
「毎回読んだ感想聞かされる僕の身にもなってほしいよ!おかけで民族語と日本語のバイリンガルになって日本人相手の観光ガイドでまあまあ収入があるんだ!」
亜矢
「それは良かった点なんじゃない?」
タージュ
「今わかったよ、僕の名前もホームシックにかかってて適当に付けたんだ!」
亜矢
「うわそう思ったらめちゃくちゃ可哀想、ごめん」
タージュ
「お陰で僕は部族の笑い物だよ。日本のスープとほぼ同じ名前なんて……本当はビシソワーズが好きなのに!」
亜矢
「ちょっとニアミスだな」
タージュ
「ママと殿の結婚を止める。その為に僕は、コンポ族に代々伝わる時渡りの秘術を使って殿と出会う前のママに会いに来たんだよ」
亜矢
「めちゃくちゃタイミングミスってるけどね」
タージュ
「格安プランにするんじゃなかったよ」
亜矢
「代理店あんの?」
タージュ
「とにかく!もう日本に帰るんだ!」
亜矢
「で、でも……あの人は、とても魅力的で……」
タージュ
「何もう落ちかけてるのさ!異国の人に恋してる自分に泥酔しないで!」
亜矢
「そんなに酔ってないもん!私は本気だもん!」
タージュ
「もう落ちてるじゃん!」
亜矢
「やめて!私……絶対幸せになってみせるから!」
タージュ
「あっ!ママどこに行くの!ママ!ママ!」
【 間 】
亜矢
「ハァッ……ハァッ……!ンマソ!」
ンマソ
「ン?ハーイ亜矢」
亜矢
「ンマソ助けて、私変な夢を見てるかもしれない」
ンマソ
「オウ可哀想ニ、コンポ族ノ神ドトュミュンゾン、亜矢ノ事見テル、ダカラ大丈夫」
亜矢
「ンマソ……ありがとう……」
タージュ
「普通その慰めには恐怖を抱くんだよ!?」
亜矢
「来た!」
タージュ
「ハァッ……ハァッ……!さ、流石は元陸上部……民族産まれの僕を、走りで振り切るなんて……!」
亜矢
「ンマソ!あの子が私とあなたの幸せな未来を壊そうとしてるの!」
タージュ
「もうガッツリその気になってるじゃないか!よくそれでホームシックになったな!」
ンマソ
「物壊ス、ダメネ」
タージュ
「殿……!」
ンマソ
「トノ?殿知ッテルヨ、日本ノ偉イ人」
亜矢
「物知りねンマソ」
ンマソ
「殿凄イ、殿憧レル。亜矢コレカラ、僕ノ事、殿ッテ呼ンデ」
亜矢
「うん、殿」
タージュ
「一つの未来が確定してしまった!だ、ダメだ……!ママはもう殿の事しか頭にない……!恋に恋するのは高校生までしゃないのか……!」
ンマソ
「君、誰ナノ?」
タージュ
「ぼ、僕は……タ……サボ、サボ:タージュ!亜矢さんは渡さないぞ!」
亜矢
「ええ!?」
タージュ
「ママ、僕は諦めないよ。絶対にその男からママを引き離してみせる」
亜矢
「そ、そんな、私を奪い合うなんて」
タージュ
「そしてその色ボケも治してみせる!」
ンマソ
「ワカッタヨ、亜矢ガ欲シイナラ、殿ト勝負ダネ」
タージュ
「くっ……もう自分自身が殿と思い込んでる!」
ンマソ
「欲シイ物奪イ合ウ時勝負、コンポ族ニ伝ワル押手」
亜矢
「掟だと思う殿。押手は弓道の弓を持つ方の手」
タージュ
「まさか、殿とママを奪い合う事になるなんて……」
亜矢
「タージュくん……大丈夫、私はホームシックになったりなんかしない。だって私、今こんなに幸せだもの」
タージュ
「そのテンションは結婚式当日だ!目を覚ますんだママ!自分探しの旅なんだろ!もっと探しなよ!流れに任せて偽物の本当を手にしちゃダメだ!」
亜矢
「あ、殿の髪にバッタ付いてる」
タージュ
「聞いて!?」
ンマソ
「サボ、勝負スルヨ。近所ノ子ナラ、ルール解ルネ?」
タージュ
「……三回勝負で一勝負毎に方法を変え、最終的に多く勝った方が勝者になる」
ンマソ
「オウ……」
タージュ
「……」
ンマソ
「チョット難シイ日本語解ラナイヨ」
タージュ
「さっきまでまあまあ会話出来てたのに!?」
亜矢
「やめてあげて!殿は勉強熱心でコンポ族の中で唯一日本語が話せるの!ちょっと話せるだけでもすごいじゃない!」
タージュ
「くっ……ママと出会う前の殿がこんなにもカタコトだったなんて……」
ンマソ
「諸行無常、世ノ常ヨ」
タージュ
「さては流暢だな!?」
ンマソ
「デハ最初ノ勝負行クヨ!ドトュミュンゾン神ニ捧ゲル、ペヌペッロ!」
タージュ
「ぺ、ペヌペッロだって……!?」
亜矢
「え、何それ」
タージュ
「ペヌペッロはコンポ族の言葉で獰猛、恐怖という意味だ……お互いが信じる神を自身に宿し、相手と戦う。宿した神にはそれぞれ相性があるから、相手より強い神を宿せれば勝ちになる」
亜矢
「そ、そんな神聖な戦いが……!」
タージュ
「日本で言うジャンケンだよ」
亜矢
「説明が悪い!」
ンマソ
「アバババババババババババアァァァ!」
亜矢
「いやっ!?何殿どうしたの!?」
タージュ
「ペヌペッロの最初の儀式さ、神をその身に宿す為に神への挨拶をしなければいけない。アバババババババババババババアァァァ!」
ンマソ
「アバババババババババババアァァァ!」
タージュ
「アバババババババババババアァァァ!」
亜矢
「シンプルに怖い!」
ンマソ
「コカッチャ!」
タージュ
「ワボンヌ!」
ンマソ
「ピトュモン!」
タージュ
「ミャー!」
ンマソ
「……」
タージュ
「……」
亜矢
「……」
タージュ
「負けたっ……!」
亜矢
「そうなの!?」
タージュ
「まさかあそこからペチュナドンにするとは……!」
亜矢
「私の目には2人が訳分からないポーズしながら雄叫びをあげてるようにしか見えなかったんだけど。あと単語が独特すぎて怖い」
ンマソ
「亜矢、勝ッタヨ。殿ノ、ホンミィィィン炸裂ヨ」
亜矢
「ごめんどれがそれかわかんない。でもやったね!」
タージュ
「ま、まだだ!まだあと二回勝負が残ってる!」
ンマソ
「アト二回モ楽勝ヨ。」
タージュ
「次はこちらが勝負の方法を指定させてもらうよ!次は……アヌォルクィンで勝負だ!」
ンマソ
「ア、アヌォルクィン……!?何テ戦イヲ チョイス スルンダ……!」
亜矢
「え、何それ!?」
タージュ
「アヌォルクィンはコンポ族の言葉で円環という意味だ……
この世の森羅万象の名を借り、それを交互に発することにより、魂の円環を完成させる。
その円環を崩した者の負け。昔は円環を崩した者が矢で射られることもあったとか」
亜矢
「そ、そんな恐ろしい戦いが……!」
タージュ
「日本で言う山手線ゲームだよ」
亜矢
「説明が悪い!!」
ンマソ
「アアアウゥゥアアアアアアアアアア!」
亜矢
「いやっ!?何殿どうしうたの!?あ!これも最初の儀式か!」
タージュ
「いや、これは普通に叫んだだけだね」
亜矢
「自分への鼓舞が怖い!」
タージュ
「儀式はここからだよ!魂の浄化の為の儀式なんだ!」
ンマソ
「アマラッサアアアアアアアアアアンンンン!」
タージュ
「アマラッサアアアアアアアアアアンンンン!」
亜矢
「だから怖いって!」
ンマソ
「ワンプモ!ワンプモ!」
タージュ
「ワンプモ!ワンプモ!」
ンマソ
「フムル!オワソン!ヤマノテ!」
タージュ
「フムル!オワソン!ヤマノテ!」
亜矢
「山手って言った!?」
ンマソ
「ムッチャッ!パンパン!チョンパク!」
タージュ
「パンパン!ヌヌッシル!」
ンマソ
「パンパン!ニョワド!」
タージュ
「パンパン!コココス!」
ンマソ
「パンパン!ウェミウェミン!」
タージュ
「パンパン!カ……カ……!アァー……!」
ンマソ
「……」
タージュ
「……」
亜矢
「……」
タージュ
「勝った!!!」
亜矢
「そうなの!?何か詰まったっぽかったけど!?」
タージュ
「日本の山手線ゲームとは少しだけルールが違うんだ。」
亜矢
「少しだけ!?本当に少しだけ!?」
ンマソ
「少シハ ヤルヨウダ……!コレデ一勝一敗……!面白クナッテキタ!」
タージュ
「この調子で僕が勝たせてもらうよ!」
ンマソ
「ツギノ勝負ハ……アレデイイカ……?」
タージュ
「そうか……!三回勝負の最後……!ついにアレで戦うのか……!」
亜矢
「アレ!?アレって何!?そんなにヤバい戦いなの!?」
タージュ
「ああ。コンポ族の最後の勝負と言えばアレしかない……」
ンマソ
「ソウ!最後ハ 指スマ デ勝負ネ!!!」
亜矢
「指スマ!?え!?日本で言う指スマとかじゃなくて!?」
タージュ
「そう、指スマはこっちでも指スマなんだ」
亜矢
「そんなことある!?」
タージュ
「ちなみに指スマはコンポ族の言葉で「二本の御神木」という意味なんだ」
亜矢
「たまたま指スマっていう言葉が被ってるの!?すごいな!」
ンマソ
「サンクサァァアアアレェエエエエエエ!」
タージュ
「始まった!指を御神木にする儀式!サンクサァァアアアレェエエエエエエ!」
亜矢
「指を御神木にする儀式!?何それ!?」
ンマソ
「サンクサァァアアアレェエエエエエエ!」
タージュ
「サンクサァァアアアレェエエエエエエ!」
亜矢
「これもうほんと怖い!慣れないんだよな、成人男性の大声!」
ンマソ
「セーノッ!指スマイチ!……アァ!ミスッタ!」
タージュ
「よし!指スマニ!……やった!」
ンマソ
「クソッ!指スマサン!……アッ!ダメダ!」
タージュ
「よし!これで最後だぁぁぁあ!指スマァァァァアアア……ゼロッッッ!!!」
ンマソ
「アアアアアアアアア!!!」
タージュ
「いよっしゃぁあああああ!!!」
亜矢
「殿弱ぁー!指スマのストレート負けってあんまり見たことないよ!?」
タージュ
「これで亜矢さんは僕のものだ!」
ンマソ
「悔シイガ仕方ナイ……!コンポ族ノ男ニ 二言ハナイ……!亜矢ハ サボ ノモノダヨ……!」
亜矢
「ンマソ……!」
ンマソ
「亜矢……!ゴメンネ……!勝テナカッタヨ……!」
亜矢
「ンマソ……!ンマソ……!」
タージュ
「ママ、さあこっちに来て。日本に帰ろう。」
ンマソ
「ママ……?ママ……!?……ソウカ……ソウイウ事カ……」
亜矢
「ンマソ!私あなたと離れたくない!ンマソ!」
タージュ
「ママ、やめて。勝負はもう決まったんだよ」
ンマソ
「……サボ、君ガ最後ニ出シタ「指スマゼロ」ハ一子相伝ノ技。殿モ父ニ習ッタヨ」
タージュ
「……」
ンマソ
「君ハサボジャナイ。我ガ息子ダナ?」
タージュ
「殿、嘘をついてすみません……」
ンマソ
「我ガ息子ヨ。キット未来デ何カ アッタンダネ。ソレデ時渡リノ秘術デ コノ時代ニ ヤッテキタ。違ウカイ?」
タージュ
「そうです。殿の言う通りです」
ンマソ
「キット亜矢ノ身ニ何カアッタ。例エバ メチャクチャ ホームシック ニナッテ 地元ノ電車ノ話トカ シテル。違ウカイ?」
亜矢
「殿物分かり良すぎない!?最初の話聞いてた!?」
タージュ
「そうです。殿」
ンマソ
「……。亜矢ノ事ハ愛シテル。コレカラモ ズット一緒ニ居タイ。デモソレデ亜矢ガ苦シムナラ、殿ハ悲シイ」
亜矢
「ンマソ……」
ンマソ
「亜矢……日本ニ帰ッテクレ……。ココデ オ別レダヨ……」
タージュ
「そういうことだよ、ママ。さあ、日本に帰ろう」
亜矢
「わかった……。ンマソ。私のことを想ってくれてありがとう。私は日本に……帰ります……」
タージュ、身体から発光し少しずつ透けていく。
タージュ
「よかった。これでママがとんでもないホームシックになることはないんだ」
亜矢
「え……?タージュ?身体が透けてる!?どういうこと!?」
ンマソ
「……亜矢ガ日本ニ帰ルトイウコトハ……殿ト結婚シナイトイウコトハ……我ガ息子ガ生マレナイトイウコト……」
亜矢
「そ、そうか!タージュは生まれなかったことになって消えてしまう……!」
ンマソ
「ソウイウ事ダ……!」
亜矢
「タージュ!何で自分の命を懸けてまで私のことを救おうとしたの!?」
タージュ
「そんなの簡単さ。僕はママのことを愛している。僕の命よりも、ママが笑っていてくれることの方が大事なんだよ」
亜矢
「タージュ……!」
タージュ
「ママはホームシックになって全然笑わなくなってしまった。日本に帰って違う人生を歩むなら、もっと沢山笑ってね……」
亜矢
「タージュ!待って!消えないで!」
タージュ
「もう運命は変わっちゃった。僕の存在はなくなり、やがて二人の記憶からも消える」
ンマソ
「タージュ!コンポ:タージュ!」
タージュ
「殿、ありがとう。最後に殿と勝負できたこと、誇りに思うよ」
ンマソ
「コンポ:タージュ!コノママ消エテモ、我々ガ家族ダッタ事実ハ消エナイ!」
亜矢
「そうよ!私達は家族だからね!」
タージュ
「拝啓、親愛なるお母さんへ」
亜矢
「え……?」
タージュ
「未来のママが書いてた手紙に、必ず書かれてた言葉、そして僕が初めて覚えた日本語!親愛なる、ママ!殿!ずっとずっと、大好きだよ!」
亜矢
「タージュ!」
ンマソ
「タージュゥウ!」
タージュ
「ありがとう、二人共。僕、二人の息子でよかったよ。それじゃあね、ママ沢山笑ってね……」
タージュ、完全に消滅する。
亜矢
「うっ……ううっ……タージュ……タージュ……!」
ンマソ
「亜矢……ダイジョウブ……コレカラ我々ガ 愛シ合ッテ、マタ タージュ ト家族ニ ナレバイイ」
亜矢
「そうね……!私、もう一度タージュに……」
ンマソ
「……。……ン……?」
亜矢
「……ん?タージュ……?って誰……だろう……?」
ンマソ
「亜矢、急ニ何ノ話?タージュッテ?」
亜矢
「わからない……。」
ンマソ
「ソンナコトヨリ、早ク家ニオイデヨ」
亜矢
「ンマソ、そのことなんだけどね。私、日本に帰ることにするわ」
ンマソ
「ソンナ!ソレハ何デ!?」
亜矢
「私は自分探しの為にこの国に来たわ」
ンマソ
「ソウダネ」
亜矢
「でももっと大事なものが日本にあるような気がするの……ある意味、私の自分探しの答えが見つかったのかもしれない……」
ンマソ
「ヨクワカラナイ……」
亜矢
「私、日本で笑って暮らしたくなった。それが本当の幸せなのかもしれないって思うの。何でかしらね?」
ンマソ
「……。亜矢ガ日本デ暮ラシタイナラ仕方ナイ。コンポ族ノ男ハ 去ル者ヲ 追ワナイ」
亜矢
「ありがとう、ンマソ。お互い幸せに生きましょう」
ンマソ
「亜矢……マタネ……」
【 間 】
亜矢M
「拝啓、親愛なるお母さんへ。私は今……」
ンマソ
「亜矢!重たい荷物は僕が持つよ!」
亜矢M
「旅先で出会った愛する夫と、日本で暮らしています」
ンマソ
「まったく……もう一人だけの身体じゃないんだから……」
亜矢
「ああ……ごめんごめん……」
ンマソ
「もう……無理しないでね」
亜矢
「うん、ありがとう」
ンマソ
「いやーしかし日本まで亜矢を追いかけてきてよかった。おかげで今はこんなにも幸せだ」
亜矢
「急にどうしたの?」
ンマソ
「ふとそう思ったんだよ。日本は僕にとても合ってるし!」
亜矢
「それはそうだね。とても楽しそうだし、言葉もすぐ上達したもんね」
ンマソ
「ああ。日本の環境が合ってるのもあるけど、亜矢と一緒に居られるのが幸せなんなんだ」
亜矢
「ふふふふ、すぐそうやって」
ンマソ
「亜矢は沢山笑う。それは幸せなことだ」
亜矢
「ンマソのおかげだよ。……あ……!今お腹蹴ったよ!」
ンマソ
「本当!?」
亜矢
「ええ。とても元気な子」
ンマソ
「生まれてくるのが楽しみだね!」
亜矢
「うん!早く生まれてきてほしい!名前はコンポ語で"愛"を意味する"ター"と"結晶"を意味する"ジュ"」
ンマソ
「僕らの愛の結晶、タージュ。コンポ:タージュ何だか美味しそうな名前だけどね」
亜矢
「いいじゃん!私は気に入ってるんだ!」
ンマソ
「亜矢もタージュも幸せにするからね」
亜矢
「ンマソももっともっと幸せになるんだからね!」
ンマソ
「ははは、そうだね!みんなで幸せになろうね!」
亜矢
「……うん」
亜矢M
「お母さん。家族ができるって、母になるって、素敵なものですね。今度タージュを連れて遊びに行きます。待っていてください。敬具」
〜幕〜
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枠名等にタイトルを書いて頂けるとありがたいです。これに関しては決して強制ではありません。(勝手かに覗かせて頂き、勝手に嬉しがります。)
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