母は料理が苦手だった。



だけどそれでも、

わたしが幼稚園に通っている頃、

何度か料理を作ってくれた。


食べたことがある母の料理は、

・卵焼き

・お味噌汁

・インスタントラーメンの具なし


この3つだけ。


いつも決まって卵焼きはしょっぱかった。

それでいて、焦げていた。


黒く焦げた、しょっぱい卵焼き。

おいしいとはお世辞にも言えない。




だけどわたしは、

あの頃の母の卵焼きをもう一度食べたい。


母の味だから。

頑張って頑張って、娘のわたしに作ってくれた、母の味。

できないことを懸命にやってくれた、母の味。



にがい卵焼き。

思い出の味。



味の記憶ってすごいな。


母は病室で、

たまにはあの頃を思い出してくれることがあるんだろうか。