母は相変わらず精神病院に入院している。


ふと思い出してみるけど

…というくらい、離れてしまっているわたしは罪人なんじゃないかと思う時がある。


自分の生活で手一杯。


嘘じゃないけど、

本当のところ、

それさえも言い訳なんだろうと思う。


わたしは母から逃げている。



そばにいて、ずっと一緒に暮らすのは無理。

それはあの母の幻覚症状や幻聴により喚く姿を見ていて正しい判断だったのだと思う。


だけど。

だけと、本当はもっとベストな方法があったんじゃないか。


時折とんでもない罪悪感に襲われる。


母が本当に望んでいるのはなんだろう。

わたしと過ごすこと?

母は、わたしに捨てられたなんて思っていないだろうか。


わたしは、母が好き。

どんな母でもたった1人の血の繋がる人間。


病気さえなければ、

こんな精神的な、

生涯付き合わなければならないようか病気じゃなければ、

もっと軽ければ、


たらればばっかり。

だけどそうだとしたら、一緒に生活出来たんだよなと思う。


私は、

自分が傷つかない為と母を傷つかない為に向き合うことから逃げた。


一緒にいれば、きっとわたしはどこかで耐えられなくなる。


介護による苦しみから逃れられず、

本当にたいせつな人を傷つけて自分で終わりにしてしまうニュースを見るのも1件や2件じゃない。


そしてそれは、

現実を知らない周りからすると「悪者、罪人」。


だけど、

いつ終わるかも分からない永遠に続くそれを受け入れ、一生背負い切れる人なんているのか。

そのくらい、想像なんてとてもできないレベルの精神極限状態。

助けて、なんて言うことも、声を上げることすらも頭に浮かばないくらいの環境なのだとわたしは思う。


だから

わたしは母と離れて自分の人生を歩いている。

隣に母はいない。

遠くに、たまに会える距離で。



母はわたしに何を望むのか。

わたしは母になにができるのか。



いくつになっても

どんなあなたでも

大好きですと

その事実だけは伝わっているといいのだけれど。