数ヶ月前、弟と些細なことから喧嘩になった
きっかけは、今思えば口に出すのも憚られるほど些細なことだったと思う、多分

でもそれが家の一部屋を血塗れにして、もう高校生の弟を泣かせるようなことになったんだから、やっぱり私が悪かったんだろうな

言い争いになって、口では勝てなかった
弟も私に対して腹が立ってたから腹を蹴られて、過呼吸になって
結局私には弟に対してなにも出来なかった、反論も対抗もできなかった

だから、私はそこで自室から剃刀を持ってきて、弟の目の前で自分の腕を切り刻んだのだと思う

元々自傷癖はあったけど、ここ二年ほどで1ヶ月に1回切るか切らないか、と言うほど剃刀を握る頻度は減ってた

だけどやっぱり、こうやって圧倒的に追い詰められてしまうと自分の行動に歯止めが効かないらしいね

私はそのとき、その一瞬で自分が何を考えて何を思って剃刀を手に取ったのかは覚えていない
覚えていないくらい感情が抑えられなくなるほど膨れ上がるのが早かったんだろうなあ


私は自分で自分の腕を傷付けることが、他人にとってショックな出来事というのを、薄々だけど、知ってたしわかってた

まあそりゃ、いくら精神障害者と言えども普段は普通の人間のように振舞ってる姉が、泣き叫びながら自分の目の前で剃刀握って腕を切り始めたらびっくりするよね、こわいよね

ここでようやく、事の顛末を全て見ていた母が私を止めに来る
剃刀を取り上げられそうになるのを私は必死で抵抗した
そのときの感情は多分、「悔しい」のひとつだったと思う
一方的に責め立てられて、蹴られて、それでも抑え込まれるのは私なのか


その結果、案の定弟はショックを受けて泣いてしまったし、部屋の壁やら絨毯やらは私の血で真っ赤になって、あとから「殺人現場ってこんな感じなのかな」とぼんやり思った(多分本当の殺人現場はこんな程度ではない)






あれからもうどれくらい経つんだろうな、と考えるけど、具体的にどれくらい経ったのかは全く覚えていない

弟とはあれから目も合わせていない、会話なんて以ての外
昨日母にそれとなく「仲直りはもうできないのかな」と言ってみたところ、「あの子(弟)はもうあんたのことが怖くなってるから、いつまたああいうことをしでかすかわからないから、関わりたくないって。そういうようなことを言ってたよ」と言われた

「どうせあと数年すればあの子も家出てくだろうし。そしたらあんたとはもう関わらないんじゃない?生きてるかどこにいるかどうかは把握してるけど、必要なときだけ連絡取って、それ以外は全く干渉しないっていう、そういう姉弟も世の中たくさんいるよ」と言われた

ここでようやく私は、「取り返しのつかないことをしたんだな」と実感した

私の家族は、自慢だけどとても仲がよかった
勿論人並みに喧嘩もするけど、時間が経てばまた普通に笑って話せるような、親と親も子供と子供も親と子供も、そういう仲の良さだった

それが、私がこの件を起こしたことによって、私と弟のあいだにだけ決定的な亀裂を生んでしまった


未だに私はあのときどうしたらよかったのかわからない
責め立てられて蹴られて、それでも黙って泣いていればよかったのか
人前で自傷をする、という行為以外、あのときの私には何も出来なかったのに

でも私がやってしまったことが正しいとは決して言えないこともわかってるから

どうしたらよかったのかな、と多分これからも考え続けるんだろうな