三日後、

祖父が亡くなった。


綺麗な虹を渡って行ったんだね。


久しぶりに綺麗な夢を、

最後に綺麗な景色を


見せてくれてありがとう。




線香を立て、おりんを鳴らす。


不思議と涙は出ない。


でも薄っすらと、

喉の奥の方に込み上げる痛みを感じるのであった。



5分程経った頃、

右耳に鐘の音のような耳鳴りが聴こえてきた。



"耳鳴り占い"



耳鳴りが起きた時間・どちらの耳かによって、意味合いが変わってくる。



13:53

右耳


"遠方からの連絡"


ハッキリと言葉は聞こえないけれど

きっと意識はここにある。


優しい音。


祖父が出迎えてくれたのだと思った。



ただいま。


おかえり。





三毛猫



ずっと施設に入っていた祖父は、

久しぶりに帰ってきた。


そして私も、久しぶりに祖父の家に上がっていた。



「にゃーー。」



ベランダの外から聞こえた。



窓の外を見ると、そこにはガラス越しに祖父を見つめる三毛猫の姿。



祖父が元気だった頃、

いつも可愛がっていた近所の野良猫だ。


通称  "ミケ"



何かを訴えかけるように、

強い目付きでこちらを見つめながら、

鳴いている。



ミケも会いに来たんだね。



もどかしかった。


本当は家に上げてあげたかった。


でもそれはできない。



二人を会わせることは出来なかった。



必死に鳴くミケの姿を見て、

涙が溢れた。


せめてもの

と思い、

窓越しにミケの写真を撮り、

祖父の顔に画面を向けてみた。



ほんの少し、目が開いていた。


見られたかなあ。



意識の中で、ミケとまた会えているといいな。