小学校の卒業文集の好きな芸能人欄に、ほとんどの友達が「光GENJI」と書いている中、「高田純次」と書いていたわらわは、きっとお父さんの影響だ。
性格がそっくりだもの。
だからこそ腹がたつ部分もあったけど、やはり大好きなんだと思う![]()
圧倒的に音痴なのに、自分の結婚式で加山雄三の「君といつまでも」を熱唱するメンタル強めなお父さん。
それから半世紀近く愛するお母さんと仲睦ましく共に歩んできた。
わらわの紺色の車をうっかりぶつけてしまい、勝手に塗料を買ってきてこっそり補修したつもりだろう。
色がスカイブルー。
気づきたくなくても気づく![]()
温厚で、優しくて、人生論を熱く語るでもなく、否定もせず、ただただ全てを大きく包み込んでくれた。
怒られたことなど1度もない。
よく旅行や外食、遊びにも連れて行ってくれた。
ドリフの会場にも連れて行ってくれたね。
そんなお父さんが71歳のある日、脳梗塞で倒れた![]()
当たり前だった元気で陽気なお父さんが倒れた。
夢のような出来事。
あまりのショックで翌日わらわも倒れた。
身体は正直だ。
過呼吸。
人生初めての過呼吸を、わらわは脳梗塞だと思い込んだ。
だんだん手足の指先からしびれてくる。
きっと、それが心臓に到着して死ぬんだ。
お父さんが倒れた翌日ショックで娘が死ぬ。って、笑えるかな。
そんなことが脳裏に浮かぶ。
息ができない。
家族が驚き、救急車を呼んだ。
人生初救急車![]()
救急隊員さんがストレッチャーで運んでくれる。
救「平安さん、お名前言えますか?」
わ「はい、平安美人です。昨日お父さんが脳梗塞で倒れました。なので遺伝でわらわも脳梗塞だと思います。手足がしびれていてもうすぐ心臓に到達しそうです。
子供達はどこにいますか?最後に顔が見たいので呼んできてもらえますか。」
と、つらつらしゃべった。
するとその訴えをぶったぎるように、そして落ち着いた静かな口調で救急隊員さんがこう言った。
救「脳梗塞だったら、そんなしゃべれませんからねー大丈夫ですよー過呼吸と熱性けいれんが出動多いんですよー」
と。
むむむ![]()
結局点滴をしてもらい、2時間後には自宅へ
その夜中、お父さんの心肺停止の知らせ。
急すぎる。
歯がガクガクして手が震える。
涙もでない。
現実なのか、夢なのか。
そんな感覚。
が!
一命をとりとめ自宅に帰ってきた。
が!
認知症がでて、誤嚥性肺炎を起こし入退院を繰り返した。
「家で看たい!」とお母さんの願いで、胃ろうを作り自宅介護の日々。
お母さんが献身的に介護をする。
バリバリ仕事をして何不自由なく家族を養ってくれた。
定年を迎えてからは大学の仲間と頻繁に登山に出掛け、孫もかわいがり、キッチンにお母さんと並び料理にもはげんでいた。
そんなお父さんが、寝たきり。
ショックだった![]()
実家と自宅を往復する道中、目にワイパーがいるほど泣いた。
でも!
本人が一番つらいだろう。
気を遣って明るめの声をかける。
すると認知症のお父さん。
「うるせーお前誰だよ俺はひろしだ
」と、キャラ崩壊!!!
なぬーーーっ
恐るべし認知症。
認知症のこと色々調べた。
いや、まず名前は「ひろし」ではないけど。
でも受け入れよう。
認知症は、否定してはいけないらしい。
今日からは、ひろしだ。
オムツを娘に替えられる。
最高の屈辱ではないか、でもお母さんが留守にしている時は仕方がない。
話題を考え、話かけながら直面しないようにごまかしながら進める。
と、ひろし
「早くしやがれ、おせーんだよ
」と。
なんてこった。
クセがすごい。さすがわらわの父だ。
その後も、実家に帰る度に自己紹介。
わらわの名前を命名した本人に毎度告げるのはへこむ。
そうだ
どうせ毎度忘れるならこっちも偽名でいこう。
「ひろしさんこんにちはクレオパトラです。」と自己紹介。
両者偽名だ。
うなずいていた。
何も疑っていない![]()
そして翌週また実家に帰り、今日はなんて自己紹介しようかな…
「ひろしさん
来たよ、誰でしょう」
と言うと、まさかの
「よっクレオパトラ
」
と真顔で答える。
ん?![]()
あははははははははははははははははははははっ!!!
うそでしょ、それは定着したんだ![]()
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クセ強めの認知症![]()
脳って奥深い。
それからわらわはクレオパトラとなった。
翌年のお正月ひろしが発熱し入院。
またも脳梗塞を発症。
もう目を開けることも喋ることもできない、そして余命が告げられた。
病室で号泣したわらわは、ひろしの枕元でこれが最期になるかもしれないと
「ひろしさん
クレオパトラだよわかる?」と泣きじゃくり夢中で連呼した。
ひろしは逝ってしまった![]()
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あの時は周りが見えていなかったけど・・・
病室にいらっしゃった担当医の先生、看護師さんへ。
患者の名前すら違うこの状況、そしてクレオパトラと名乗る娘。
笑いをこらえるの必死でしたか?
この不可解な事態をどう解釈しましたか?
ナースステーションは、さぞかしざわついたことでしょう。
お察しいたします。いつか機会があれば釈明させてください。
お父さんの葬儀![]()
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前夜、亡骸となったひろしの横で、ビール片手に泣きじゃくっていたお兄ちゃんがポツリと言った。
兄「孫の顔、見せれなかったな・・・」と。
わらわはすぐに教えてあげた。
わ「お兄ちゃんが見せれなかったのは、嫁の顔だよ!」と。
すると、独身貴族なお兄ちゃんはニヤリとした![]()
本葬のあと、いよいよ棺の蓋が閉められる。
そのタイミングでお兄ちゃんが
「お花
鼻に一本だけさしていいかな?」と、微笑みながらつぶやいた。
わ「やれるもんならやってみな」
とつぶやき返した。
お父さん、とんだ子供達に育ちましたね![]()
多分笑ってるよね。
あれから2年。
時々無性に会いたくなる。
お父さん、笑いのわかる大人に育ててくれてありがとう❤️
わらわが命終わる時は迎えにきてね。
その時まで一生懸命生きるよ。
じゃーまたね![]()
ひろし
💕