日本を代表する子供向けテレビ特撮ドラマをリメークした「パワーレンジャー」が、米国など世界で人気を集めている。元作品の「スーパー戦隊シリーズ」が一貫して掲げる、「信じる仲間と力を合わせて悪を倒す」コンセプトはそのままに、当初は日本版をほぼ流用していたが、20年近い歴史を重ねるにつれて新たな脚色や撮影シーンも取り入れられ、独自の「進化」も遂げた。(ワシントン 柿内公輔)
「きょうは僕がレッドをやる」
「じゃあ私はイエローがいい」
米国の公園に顔なじみのちびっ子が集まれば、さっそく“配役”の相談だ。レンジャーになりきり、跳んだりはねたり、木を振り回しての「パワーレンジャーごっこ」に興じる様子は見ていてほほえましい。そして日本人、しかも記者のような子供のころにテレビの“元ネタ”に熱中した世代なら、思わずニンマリしてしまうに違いない。
パワーレンジャーの第1作「マイティ・モーフィン・パワーレンジャー」が米国で放映されたのは、1993年にさかのぼる。日本のスーパー戦隊シリーズのファンでもあった制作関係者が東映と交渉し、「恐竜戦隊ジュウレンジャー」をリメークした。これが米国人の子供にも大受け。それ以降、ほぼ毎年作品が代替わりする日本の戦隊シリーズの放映終了後にリメークをするという形で、放映が続けられている。たとえば今年放送されている「パワーレンジャー・サムライ」は、「侍戦隊シンケンジャー」のリメーク作品だ。
当初は、戦闘シーンは日本版をほぼ流用し、米国人俳優がドラマ部分を撮り直す形で制作されていた。ただ、「日米の風景や街並みの違いが気になるなど、どうしてもちぐはぐな印象は否めなかった」(テレビ業界関係者)ため、次第に米国での撮影シーンが増やされ、オリジナルな脚色も加えられるようになった。
たとえば、パワーレンジャーの配役は、多民族国家の米国社会を意識し、性別や人種などができるだけ均等になるように配慮されているといった具合だ。
また、米国では子供向けテレビ番組の暴力描写が日本以上に問題視されることも多いため、あまり過激なシーンは割愛されたり、差し替えられるといった改変がなされることが多い。表現上の規制が厳しいために、日本の戦隊シリーズで服装の露出度の高い女性が出ている場合は、これまた改変されることもある。
ただ、そうした苦労も含めてシリーズを重ねるにつれ、“本家”同様にパワーレンジャーの撮影や制作も水準が上がり、より洗練された作品がファンを拡大することにもなった。一時期はディズニーが作品を制作していたこともある。
その人気は社会現象にまでなり、政治家がスピーチ会場にパワーレンジャーを登場させたり、書籍や玩具、ゲームなど関連ビジネスも拡大していった。
今では米国だけでなく欧州やアジアなど世界各国で放映が広がり、かつては日本のスーパー戦隊を放映していた国がパワーレンジャーを放映するようになったケースもあるほどだ。
ついに一部の作品は、字幕や日本語吹き替えなどで日本に逆輸入されるものも出て、日本でも熱心な「パワレン(パワーレンジャーの略称)」ファンが増えているとか。だが、基本的には日本国外向けという位置づけなので、あくまで日本での展開は控えめなものとなっているようだ。
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