阿蘇の国のアリス -2ページ目

阿蘇の国のアリス

赤牛の後を追って
カルデラに落ちた時から
アリスの不思議な旅が始まりました.

アリスちゃん、
お手紙ありがとう。
私はあなたのことを
心から愛しています。


あなたが
家に来てから
私の人生は
大きく変わりました。


どんなにつらいときでも、
むくむくと温かい
あなたを抱きしめれば、
いつでも幸せになれました。


しかし同時に、
私の頭をよぎっていたのは、
あなたが死ぬ日のことでした。


あなたと別れる日までの年数を、
いつしか数えてしまう
自分がいたのです。


そんな中で、
私はがんになりました。


きっと、
神様があなたと寿命を
合わせてくれたのでしょう。


そう言えば、
あなたは自分の
生涯の短さについて
一言も不平を言いませんね。


だとしたら、
私も、もう嘆くこはよします。


あなたのように、
ただ淡々と
今日を生きることにします。


そしてもし、
私が先に死んだなら...


その時は、
あなたとパパを
虹の橋の手前で
いつまでも
待ちたいと思います。


あの時ふたりで追いかけた
虹みたいに...


美しい虹の橋の手前で...。

10月4日日曜日、
南阿蘇で1位のラブレターを
決めるコンテスト、
【南阿蘇ラブレターアワード
2015in白川水源駅】が
開催されました。


「世界の中心で愛をさけぶ」の
行定勲監督らが1次審査を、
来場者の投票で大賞が
決まりました。


私も、ママへのラブレターを
書きましたが、
つい寝坊してしまい、
私たちが到着した頃には
すでに表彰式でした。


せっかく書いたので、
読ませていただきます。


ママ、
私のことを愛してくれて
ありがとう。


いつもそばにいてくれて
ありがとう。


ママが私のことを誰よりも
愛してくれていることを、
私は知っています。


でも...ごめんね。
ほんとは私、パパのことが、
一番好きなんだ。


だってパパは、
私を自由にさせてくれるから。


そのパパは、
ママのことを一番愛しています。
いつもママのことばかり
考えているから、
きっとそうです。


私はパパを。
パパはママを。
ママは私を、
この世で一番
愛しているんですね。
さんにんは愛の三角形だね。


だれかひとりでもかけたなら、
家族の愛はきっと、
死んでしまうと思います。

だから、
さんにん手をつないで、
少しでも長生きしょうね。

そしてもし、
生まれ変わったなら、
今度は私がパパと結婚します。
その時はママを、
子どもにします。

そうしたらママのこと
一番愛せるでしょう?

「今度、アリスちゃんの
絵を描いたから見にきて」

1ヶ月ぶりの病院外来で、
白血球が減少し、
腫瘍マーカーが上がったと
聞かされたママは、
元気をもらうために
南阿蘇村の
カフェギャラリー
「緑の小箱」さんへと
やって来ました。


しかし、
店の前まで来ると、
いつもと様子が
ちがっていました。


開催中の
「南阿蘇村谷人たちの美術館」
取材ため、
大勢のテレビ局スタッフが
来店していたのです。

やがて、
私たちにきづいた
松尾ママが叫びました。

「よかった~!
お客さんがいなくて
さみしかったところなの。
たった今、電話を
しょうとしていたのよ」

聞くと、このあと
午後4時45分から生中継で、
今はリハーサル中
だということでした。


ママは、
松尾ママの店を
にぎやかに見せるため、
急いで皆に声をかけました。
すると皆、仕事を捨てて
飛んで来ました。

ママとしんご君も
リハーサルをしました。

「好きな人はいますか...」
「ジャスママさんです。
今度一緒に鹿児島に行って、
一緒に砂風呂に入ります」


そうこうしているうちに
本番がスタートしました。


スタジオから
南阿蘇の中継に切り替わり...


カメラが店内に進入...


松尾ママが
紹介されている時、
おかまのお梅とフー子が登場。


私(アリス)の
絵が紹介されたあと...


アリスママ(チラッ)...


しんご君(チラッ)...


アリスパパ、せいらちゃん...


そして全員集合...


オープニングは、
おかまのお梅とフー子の
ツーショットで終わりました。
めでたし、めでたし。


テレビ中継が終わると、
皆でカレーを食べました。


やがて松尾ママが
口を開きました。
「元気をくれてありがとう」

ママはその時、
心の中で叫びました。

「ちがう。
あなたこそいつも私に、
生きる勇気を、
与えてくれているのだ」と...。

店から出ると、
日はいつのまにか
暮れていました。

「絵はこのまま、
あの店にかざってもらおう。
あの店で、あの絵の中で、
ママとアリスはずっと、
生き続けて
いられるのだから...」
パパが呟きました。

阿蘇にはもうすぐ、
長い夜が支配する季節が
やって来ます。

今、南阿蘇村は、
そばの花が満開です。


もちろん、
美味しいそば屋さんも
たくさんあります。


中でも、
ママの一番のお気に入りは、
「久木野庵」さんです。


今だと、
北海道産新そばの
香りが味わえます。


ママおすすめは、釜揚げです。


注いだ蕎麦湯に
ビタミン、ミネラルなどが
溶けだしているので、
栄養価も抜群です。


パパおすすめは鴨せいろ。
冷たい蕎麦とあたたかい鴨汁の
相性が合う~。


美味しいそばの後は、
「まるしぇ若葉」さんに
寄りました。


ほぼ毎日、
ママはこのお店から
無農薬野菜やたまご、
ジュースやお米、
ラーメンまで買っています。


安心素材の食材はもちろん...


ママはここのお姉さんが
とても大好きなのです。


いつも元気で優しいし、
病気のことも
分かってくれています。
だから私も、
このお店の看板犬になって、
売上に協力しています。


「いらっしゃい、いらっしゃい」

無農薬野菜と
りんごを買うと、
ママはもう一軒
訪ねてみたい店がある
と言いました。

やはりそこも、
ママを元気にしてくれる
場所です。


「ママ、
皆から元気を
たくさんもらって、
次の検査結果、
がんばろうね...」

つづく
ママ外来の朝、
私はもうひとりのママ、
せいらママにあずけられました。


「せいらちゃんが、
がんになりませんように...」


その日ママは、
願いを込めた首飾りを
せいらママに
プレゼントしました。


「ママがんばってね...」


ママとさよならした後、
ママを乗せた車は
満開のそば畑を横目に
病院へと向かいました。


病院では、
血液検査とレントゲン検査を
しました。


診察が終わると、
自然食レストラン
「肥後福のや」さんで
外食をしました。


今日のママ、
少し落ちこんでるみたいです...


検査結果が
よくなかったんだね...。




ランチの後、
今度はパパがママに
帽子をプレゼントしました。


「次の検査結果が
よくなりますように...」


福のやさんからは、
明治10年に架けられた
「明十橋」が見えました。


今でも大型車が通る現役の橋です。