発達障害や知的障害について調べていると、重大事件のニュースで「発達障害があった」「自閉症と診断されていた」という話が出てくることがあります。

でも、

「発達障害がある=犯罪を起こす」ではありません。

これは大前提。

今回は、発達障害に関する診断や指摘が報じられた事件について、できるだけ分かりやすく整理してみます。

第1回は、2018年に起きた東海道新幹線殺傷事件です。

東海道新幹線殺傷事件とは?

2018年6月9日の夜。

東京発・新大阪行きの東海道新幹線「のぞみ265号」の車内で、乗客が刃物で襲われました。

場所は新横浜駅と小田原駅の間。

女性2人が襲われ、その女性たちを助けようとした38歳の男性も襲われ、亡くなりました。

この事件では、

1人が死亡、2人が負傷。

逮捕されたのは、当時22歳だった小島一朗被告です。

新幹線という、多くの人が利用する場所で突然起きた事件だったこともあり、大きな衝撃を与えました。

犯人の小島一朗被告はどんな人だった?

小島被告は愛知県一宮市出身。

事件当時は無職で、住所も定まっていない状態でした。

報道では、子どもの頃から周囲とのコミュニケーションや社会生活に難しさを抱えていたことが伝えられています。

一方で、学校では成績が良く、就職先でも理解力や仕事の能力を評価されていたと報じられています。

ここは少し意外に感じるところかもしれません。

発達障害があるからといって、勉強ができない、仕事ができないというわけではありません。

発達障害の特性や困りごとは、人によってかなり違います。

発達障害の診断はあったの?

ここは、今回の記事で一番注意したいところです。

事件後の報道では、小島被告について、過去に自閉症と診断されていたという情報が出ています。

また、幼い頃に「アスペルガー症候群の疑いがある」と指摘されたという報道もあります。

ただ、

「小島被告は自閉症だった。だから事件を起こした」

と考えることはできません。

裁判時の精神鑑定では、ADHD(注意欠如・多動症)や猜疑性パーソナリティー障害についても診断が示されています。

つまり、幼少期の診断・指摘と、事件当時の精神鑑定では内容が異なっています。

そのため、この記事では、

「発達障害についての診断・指摘が過去に報じられている」

という表現にします。

なぜ事件を起こしたの?

小島被告は事件後、「刑務所に入りたい」という趣旨の発言をしていました。

裁判でも、刑務所に入ることを目的として事件を起こしたことが問題になりました。

「特定の相手に恨みがあった」というタイプの事件とは、少し違っています。

そして裁判では、事件当時の精神状態についても詳しく調べられました。

裁判ではどうなった?

2019年12月、横浜地裁小田原支部は小島被告に無期懲役を言い渡しました。

小島被告は控訴せず、2020年1月に判決が確定しています。

裁判では精神鑑定の結果も検討されましたが、裁判所は事件当時に刑事責任能力があったと判断しました。

発達障害が事件の原因だったの?

ここは、かなり大事なところです。

「発達障害があったから事件を起こした」とは言えません。

発達障害のある人のほとんどが犯罪を起こすわけではありません。

ASDの人も、ADHDの人も、学校に通ったり、仕事をしたり、家庭を持ったりしながら生活しています。

なので、

「犯人に発達障害があった」



「発達障害が事件の原因だった」

と単純につなげるのは危険です。

事件を考えるなら、本人の特性だけではなく、生育歴、家庭環境、社会との関係、本人自身の考え方など、さまざまな要素を見る必要があります。

「発達障害」と「犯罪」は別のもの

事件のニュースで「発達障害」という言葉を見ると、

「発達障害って犯罪と関係があるの?」

と思ってしまう人もいるかもしれません。

でも、ここは分けて考えたいところです。

発達障害は犯罪ではありません。

発達障害の診断があるというだけで、その人が危険な人物だと判断することもできません。

今回の事件についても、

「発達障害だったから事件を起こした」

と考えるのではなく、

「この人にはどんな特性があり、どんな環境で生きてきて、なぜこのような事件に至ったのか」

という視点で考える必要があると思います。

まとめ

今回は、東海道新幹線殺傷事件について調べてみました。

小島一朗被告については、過去に自閉症・アスペルガー症候群に関する診断や指摘があったと報じられています。

一方、裁判時にはADHDや猜疑性パーソナリティー障害についても診断が示されています。

そして裁判では刑事責任能力が認められ、無期懲役が確定しました。

この事件について考えるとき、

「発達障害だったから犯罪を起こした」

という単純な見方をするのではなく、

「障害や本人の特性、環境、本人の考え方などがどう関係していたのか」

を一つずつ見ていくことが大切なのではないでしょうか。

このブログではこれからも、発達障害や知的障害との関係が報じられた事件について、

「実際にどんな事件だったの?」

「犯人にはどんな診断があったの?」

「裁判ではどう判断されたの?」

「障害と事件には本当に関係があるの?」

というところを、できるだけ分かりやすく調べていきます。

※この記事は公開されている報道・裁判資料などをもとに作成しています。診断名と犯罪行為との因果関係を示すものではありません。