今日は、潜在意識とは一見何の関係もない、一般論のお話です……今回は。
先にお伝えしておくと、この話、続編があるのです。
そちらには潜在意識的なことが出てくるのですが、
今日のは一般紙のコラムのような、軽い読み物のようなつもりでお読み戴ければと
かつて親しかった小説家と、議論を交わしたことがありました。
人は、「特別な存在」になれるのか？
彼も私も、若い頃は人一倍自己顕示欲が強いタイプで、
そういうことばかりを考えていた時期があったまあまあ痛い方の人間でしたので
この議論は白熱しました
彼は、「特別な存在なんていない」と主張しました。
厨二病という言葉もない時代から、特別になろうとして失敗する青年の小説を
書いていた人でしたので、その主張はなるほど、と頷けました。
でもちょっと待って、と私は言いました。
確かになるほど、そうかもしれない。
現代の一般市民にとって「特別」は、なろうとしてなれるものではなくて
セレブぶっても凡庸な成功者というステレオタイプに回収されてしまうかもしれない。
けれど、あなたは「愛」というファクターを忘れている。
人が自分で自分を特別視するのは滑稽かもしれないけれど、
例えば私にとって、愛する人は既にして特別である。
例えば私があなたを愛したとする。それだけであなたは私の特別な人になる。
それはあなたが否定できるようなものではない。
自分で自分を特別だと主張するのは「裸の王様」のような馬鹿げたことかもしれないけれど、
愛の対象はいつだって特別で、たとえその対象があなた自身だったとしても、
あなたにすら「自分は特別じゃない」なんて口を挟む権利はないんだよ。
その「特別」は私だけのものだから。
そんな風に、「特別」とは誰かが誰かを大切に想う特別な視点なのではないだろうか？と。
実はこの論は、昔あった「ヴェルタース・オリジナル」というキャンディのCFから
つらつら着想していたものだったのです。
外国人のおじいさんが、自分の孫に「彼は特別な子供だから、ヴェルタース・オリジナルが
ふさわしい。あなたもきっとヴェルタース・オリジナルをもらうでしょう。」
という、よく考えると選民思想バリバリのコマーシャルでした
しかしそれがそう鼻につくこともなく受け入れられたのは、
おじいさんの孫に対する愛情がベースとなったCF作品だったからだと思いました。
誰でも、「うちの子が一番」と思うものでしょう？
私の話を聞いて、滅多に自分の論を曲げない人が、満足げに頷きました。
いつかこのことを小説に書こう、と。そうして。あげますよ、と私も笑いました。
アイデアウーマンの私はよく、アイデアを出してはあげて、
「あげますよ」という言葉が当時、私たちの間で流行っていたのでした。
しかし……私は今の仕事を始めて、また更に、この論をひっくり返すことになるのです。
長くなるので結論はまた次回
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