
1992年 大槻ケンヂ作「のほほん雑記帳」
あいつらが簡単にやっちまう30回のセックスよりも「グミ・チョコレート・パイン」を青春時代に一回読むってことの方が価値があるのさ!とばかりに大槻ケンヂのグミチョコレートパインという小説が大好きで、初めて読んだのは19歳。青春には間に合ったと思う。
読んだ時はまるで自分のことのようだと衝撃と感動を覚えた。ここまで同じ気持ちを書いてくれた小説を私は知らない。
クラスで目立つ美甘子という美少女。文芸坐に来ていて彼女は「同志」なのではと主人公のさえない高校生賢三は思う。
また文芸坐に来ていた彼女とマニアックな話をした部分。胸が高鳴る。
三部作で、パイン編が中々出なかった。8年もかかった。私は、こういうことを滅多にしない性格だが角川に手紙を書いた。
いつ発売されますか…?
その頃、会社の後輩がお菓子を食べて美味しかったらハガキで感想を書いていると聞いたのだ
。そしてお菓子が送られてきたことがあったらしい。
あたしのイメージが崩れるから他の人に言わないで下さいね。なんて言われた(笑)
そういうことを聞いたばかりで、もしかしたら手紙を送れば何か反応があるのか?と思ったのである。
出版社やテレビ局は私にとって遠い存在だった。よくテレビ局にクレームが来たなんて聞いたことはあるが、いまだに電話番号があること自体信じられない。
芸能人とは簡単に話せないように、出版社とテレビ局は同じように思っていた。
そして、返事は来た!
日数はかかっていたが、とても嬉しかった。『パイン編は、未定でわかりません』
そんな内容だった。
私は失望した。薄々は感じてはいたけど…。
そのまま年月は流れまくって年齢は30代になろうとしていた。
偶然本屋でパイン編をみかけたのだ。
その驚き!
もちろん買った。
面白かった。でも待ちすぎたのだ…その間に青春は終わっていた。グミ編を読んだ時の衝撃はなくなっていた。あの時が青春だったと。
もちろん完結編を読めてスッキリはした。ありがとう大槻ケンヂ…やり遂げてくれて。
前置きが長くなってしまいました汗。タイトルの、のほほん雑記帳なる本を最近読んだのである。
何故かと言うと、グミチョコレートパインをまた読んでいました。気に入った本を何回もしつこく読むのは私の特徴です。
ネットでグミチョコレートパインの読者メーターなども見てみてみました。大槻ケンヂの他の本も感想を読んで見ることに。
のほほん雑記帳なる本に、大槻ケンヂの初恋や初キス、初体験!まで赤裸々に書かれているらしい。
これは知りたい。
女子と会話すらできない内気な少年であった彼が、どうやって女の子と付き合えたか知りたかったのだ。
答えはバンドを組んで大槻モヨコとして売れてきたからだそうだ。
この頃、彼は「いじめられっ子が中学を転校し、誰も自分のことを知らない新しい学校で登校初日に大暴れし、いじめっ子としてデビューする。」
そんな感じだと書かれていた。今まで鼻にもひっかけてもらえなかったのが180度変わったのだ。
なんとなく自分がそうなったみたいで嬉しくなる話だった。大槻ケンヂまではとうていいかないが、私もメイクなど初めてから男性からの扱いが変わったと感じた時があったので共感を得ました。
それにしても…
当時私は、大槻ケンヂ関係の本は割りと読んだ気でいた。
エッセイは、最初は面白かったがいつも似たようなことをを書くようになって正直飽きたのだ…
この、のほほん雑記帳は初のエッセイだけあって新鮮なやる気に道溢れた想いが伝わり思った通り面白かった。当時買わなかったのが不思議である。
作者オススメ面白本も沢山載っていて読んでいないのは、いずれ少しでも読んで見たい。
ドグラマグラも載っていた。彼は以前ティーン雑誌で「ドグラマグラを読んだ、もしくは読もうとした女性としか付き合えない。」そう語っていた。
当時ティーンだった私は、やった!オーケンと付き合える素質があるんだ。
そう喜んだ。
彼は続けて「ドグラマグラを読もうとした子って社会に対してなにかしらの疎外感をいだいているでしょ?そういう子としか…」
あ…!と、驚いた。ズバリ確信を突かれてうろたえたのである。
でも分かってくれて嬉しかったです。
(前にblogで書きました。私も毎回同じですな。)
のほほん雑記帳は、あきらかに少年少女に向けて書かれていた。
当時読んでいたら私もギリギリ少女だったが、あの頃の少女に戻ったような違うような、そんな感じだった。
当時は「のほほん」って変なタイトルだと思った。今も少しは思うが(笑)
皆さんもいつかノホホンの日々を。
彼のメッセージが青春が終わった忙しい日々を送る、かつての少年少女にやっと伝わっている。