客「今その気分を味わっとる。」
運転手「カメに乗って行ったのが太郎だけでなく村人全員ならどうだったでしょうね…
全員が竜宮城へ行って、そしてそろって村へ帰ってきたとしたら それでもやっぱり数百年の歳月がたってたコトになるんでしょうかね。
村人がだれ一人気づかなかったとしても…。」
客「なんの話をしとる!」
運転手「なまじ客観的な時間やら空間やら考えるさかい ややこしいコトになるんちゃいまっか? 帯に短し待つ身に長し、いいますやろ。時間なんちゅうもんは、人間の意識の産物なんや思たらええんのんやがな。
世界中に人間が一人もおらなんだら時計やカレンダーになんの意味があるちゅうねん!
過去から未来へキチンと行儀よう流れとる時間なんて始めからないのんちゃいまっかな?お客さん。
人間それ自体がええ加減なんやから、時間だってええ加減なんも当たり前や。きっちりしとったらそれこそ異常でっせ。確かなのはこうして流れる現在(今)だけ。そう思うたらええのんちゃいますか?」
客「おもしろい。これは本当にカメに乗ったのかもしれんな…」
運転手「このまま竜宮城まで行きまっか?お安くしときまっせ。」
