あれは総合の授業にあたるのだろうか。

長男が5年生に進級してまもなく、バケツで稲を育てる授業を行うので、10~15ml程度のバケツを用意しておくようプリントが配られた。

バケツで米作りができるとは知らず、そのような体験を小学校でさせてもらえることに子供も興味を持っていた様子だった。


詳しい授業内容はわからないが、当時長男が話してくれた「田起こし」「代掻き」「苗植え」の3行程のうち、よく覚えているのが代掻き(しろかき)だ。

代掻きとは、バケツの中で土と肥料を混ぜ合わせた(田起こし)後に、さらに水を加えてかき混ぜる作業のこと。
嫌がる子供もいるため、積極的にやりたい児童を何名か立候補させたらしいが、どうやら長男はそのメンバーに選ばれていたようだ。
泥だらけの手で汗でも拭ったのか、顔にまで泥をつけ、はじけるような笑顔をした写真を、後日担任の先生から頂戴した。
泥だらけの衣服を持ち帰ってきた当日には嘆息を漏らしたが、その楽しげな写真を見てからは、よき経験をしたのだなと頬が緩んだものだ。

代掻きの作業を終えると、いよいよ苗植え。

土の中にしっかり立てるように植えたら、ひとまず完成らしい。


1学期中は水位に注意しながら観察記録をつけるなどし、夏休み期間には自宅で育てるよう課題が出た。
そのため、バケツを持ち帰らねばならないのだが、水をふんだんに含んだ土がぎゅうぎゅうに詰まっているため、見た目のサイズ以上に重量感がある。


我が家は小学校から近かったが、それでも歩いて持ち帰ると私には大変に感じられたので、学区の端にお住まいの方はなおのことだったろう。ほとんどの親御さんが保護者会の帰りに自転車のかごに入れて運んでいるようだった。

捨てる育児絶賛遂行中の某氏は学校に赴くでもなく三男自ら…以下略。いつものことやね。何をか言わんや。


持ち帰ってきたバケツは、日当たりのよいベランダへ設置。穂をつける前には中干しをしなくてはならないとのことで、1日程度、土の表面乾かし、その後は水加減に注意しつつ、稲穂が実りだした頃には、鳥避けのネットもかけておいた。

枯らすことだけはあってはなるまい。

が、水の入れすぎもよくない。

その辺りが注意ポイントだ。


実りの時期の田んぼが黄金色に染まり美しいのは周知の事実だが、バケツの中のそれもひけをとらない。

まだ緑を残しているものの、頭を垂れ、陽光を浴び、風になびくバケツの稲穂も十分絵になる美しさだった。


休み明けには再度学校へ持っていき、稲刈りをして乾燥させたら、牛乳パックのあけくちを使いしごくようにして脱穀したとのこと。

もみ殻もこすってキレイに落とし、精米したら立派なお米のできあがり!

少し茶色がかってはいるが、欠けも少なく上々の出来映え。家のお米と混ぜて炊き、自ら育てた感慨に耽りながら、みなで食べた。


その4年後、次男にも同様の授業が行われたが、彼は代掻き拒否派だった模様。

学級だよりには、泥だらけの友人の素敵な笑顔が載っていた。


コロナ期を経て授業の在り方も変わったのか、バケツは用いず、観察池の一部を田植えゾーンに変更し、そこで育てたという。
よって夏休みの持ち帰りもなく、親としては楽だったが、その分ほとんど記憶にも残らず、実った稲穂を見る機会もなく終わってしまったのは残念な気もする。
収穫した米は持ち帰らず、家庭科の授業の一貫として炊飯器で炊き、塩むすびにし、一緒に作った味噌汁とともにいただいたらしい。

今夏は水不足だろうか。
梅雨入りが遅く田植えを諦めた農家もあると聞く。
いわゆるゲリラ豪雨のような天候が何日かあったものの、早くも猛暑日が続くなど貯水量が心配だ。
お米をはじめ、今栽培中のすべての農作物がおいしく育つのを楽しみに、実りの秋の到来を待ちたい。

☆おまけ☆
長男の米作りと同時期に次男は朝顔のお世話
色とりどりの大輪の花を次々咲かせてくれた