無事知音はしましたが、まだリハビリ中のjohnです。

　前々回よりビートルズの実話に基づいたフィクションをお送りしています。そのつづきです。

（ポール在籍時のクォーリーメン）

クォーリーメン異聞

　1958年、ポールは既にクォーリーメン（後のビートルズ）のメンバーとなっていたが、その夏ポールは父の手配したサマーキャンプに行ったため、クォーリーメンの練習やライブに参加していない。しかし真面目で筆まめなポールのこと、ジョンに多くの手紙を出していた。今日はその中から興味深いものをご紹介しよう。

　これだ。

親愛なるジョン　

　君も知っての通り、僕は今サマーキャンプに来ててクォーリーメンのライブに参加出来無い。悪いけどよろしく。

　ところで昨日ちょっと面白いことがあったので書いておくよ。ここのサマーキャンプは厳しくて有名だよね。特に男女交際は完全にご法度だ。その取締のために警邏隊が組織されてる。警邏隊は成績優秀者の中から選ばれるんだけど、僕ももう少しで選ばれところだったんだぜ。その警邏隊の中にウィリーっ奴がいて一番の人気なんだ。兎に角女の子にもてる。中でも調理隊のシシー・シミズって子がウィリーに惚れて大変だったんだ。調理隊ってのも成績優秀者から選ばれるんだけど、男女交際にうるさい時代でしょ。だから表現方法も違ってた。

　警邏隊の中でも特に優秀な者が山岳警備隊になるんだけど、当然ウィリーも山岳警備隊で、山岳警備隊ってのは山岳列車に乗り込むんだけど、ウィリーに近付きたいシシーは頑張ってとっても美味しいお菓子を考え出したんだ。ストロトべリー・ペーストだよ。従来のものは酸っぱかったんだけど、これはその酸っぱ味を取り去ることに成功してる。僕も食べたけどホントに旨いぜ。

　それを認められてシシーは見事に山岳列車の調理隊になってる。シシーはどうしてもウィリーに自分のご馳走を食べてもらいたい。一計を案じたシシーは列車の貴賓室にウィリーを呼び出し、自慢のストロベリー・ペーストを食べさせ、その上でウィリー撃ち殺したんだ。サマーキャンプは大騒ぎさ。中でもウィリーの親友、ビリーは舞上がった。ビリーはウィリーの敵を取ろうと貴賓室に張り込んだ。その晩、列車の貴賓室に何者かが忍び込んだ。その影をビリーが撃った。その場所で血まみれで倒れていたのはシシーだったんだ。つまりシシーはすべてを計算ずくでやってたんだ。敬虔なクリスチャンだったシシーは、天国の存在を信じてた｡天国へ行ってウィリーと結ばれると堅く信じてたんだ。日系人特有の心中という訳だ。

　撃ったビリーは、100年も前に作られた隊則によって無罪となった。仇討ちと認められたんだ。

　残されたストロベリー・ペーストは大評判となり、そのサマーキャンプ会場のお土産となってる。この手紙と一緒に送っておいた。みんなで一緒に味見してみな。本当に旨いぜ。じゃ、皆によろしく。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ポールより