玉響 (H&C Comics CRAFT SERIES 62)/大洋図書

¥700
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貿易商の一人息子である麻倉忠道は全寮制の旧制高校へ入学する。
そこで同室になったのは、幼い頃に唯一心を許した幼なじみ、立花だった。
けれど立花との再会は麻倉にとって複雑なものでー

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う~ん、やっぱり、ゆき林檎さん好きだな~~(*´∀`*)

今回は初の長編作品、初の時代物とゆうことで、ゆき林檎さんの新たな魅力がまたひとつ見られた感じでした。

タイトル、「たまゆら」と読みます。たまひびきかと思ったよ…w

カバー下の後記に

「玉響の語源は匂玉が触れ合った時に鳴るかすかな音。
転じてわずかな一瞬」

とありましたが、ほんとそんな感じの、繊細で儚い恋のお話だったな~と思います。

ゆき林檎さんの繊細な画とお話が、とってもマッチした作品でしたね~(^-^)



(※感想にネタバレを含みます。ご注意下さい※)

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時代は大正。
旧制学校に入学した麻倉と同室になったのは、幼なじみの立花。

この2人、13才の時に麻倉が、立花と女の子との情事を見てしまって以来の再会なんですね。

で、その時麻倉が割ってしまったサイダー瓶の中のビー玉を、今も大事に持ってる立花。

実は立花は昔から麻倉のことが好きで、麻倉を忘れる為に女の子と致してたんです。
そして麻倉に「今でも好きだ」と迫るんですね。

初めての恋に戸惑う麻倉。

そんな時、貿易商の跡取りである麻倉は見合いをさせられ、立花は実家の都合で学校を辞めることになります。

この時の立花の
「どうあがいたって、世の中どうにもならないことばかりだ」
という言葉が、すごく切なかったですね~(´_`。)

この時自分の気持ちを素直に伝えられなかった麻倉は、自分は愚かだと後悔するんだけど、その後すぐに関東大震災が起こり、2人は離ればなれに…。


それから5年の月日が経ちます。
立花を毎日探す麻倉は、もう次の日が結納という日に、やっと立花を見つけるんですね。
立花は、東郷という名で小説を書いていました。

でも立花は、昔馴染みの芸者で苦しい時に支えてくれた娘と、身を固める決心をしてたんです。

それでも、気持ちを抑えられない麻倉。

ここの麻倉の告白は、たどたどしいながらも、すごく気持ちが溢れてる感じがして、良かったです(T_T)


…2人がくっつくまでに数々の障害があったので、ああやっとか~(T_T)と思ったんだけど、この作品で一番印象に残ったのは、この後でした。

身も心も結ばれた翌朝、麻倉はけじめをつけに行くんです。

「僕の人生だ。

この先いつ命が果てるかわからないけど
僕は僕の意思で生きたんだと
死に際にいい人生だったと
笑いたい 」

今までの自分は、人からどう思われるかばかり気にして生きていた、と言う麻倉。
これって、麻倉の容姿がハーフで目立った為に苛められていた過去も関係してるんでしょうね…(´_`。)

でも大震災があり、いつ何があるかわからない人生、自分の意思で生きて行くことを決意します。

…なかなか深い言葉だよね。


立花が持っていた2つのビー玉を分け合って、再会を誓い合う2人。

お話はここで終わっていて、その後2人がどうなったかははっきりとは描かれていません。


世間的に赦されるはずもない2人、きっとそれからもたくさんの苦難があったと思いますが、描き下ろしで2人のラブラブ生活が見れたのが、ほんとに良かったね~と思いました。

悲恋じゃなくて、ほっとした。


でも、幸せな時間はほんのひととき、だからこそ、儚く美しいんだと思います。

その儚い恋が、ビー玉がこすれるかすかな音になぞらえられていて、すごく情緒がありました。

とても余韻の残る本でした*:..。o○☆゚・:,。





読んでくれてありがとう(^-^)/黄色い花
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