週末、嫁さんの実家に泊まっている。
泣き疲れたのか、すやすや眠っている。
どれだけこの生活を夢見ただろうか。
次元は、父親になった。
陣痛が始まったのは、ちょうど仕事が休みの日だった。
予定日を過ぎて、いつ生まれてもおかしくない状況であり、この日は朝から微弱陣痛が始まっていた。
本格的に陣痛の感覚が短くなったのは、夜になってからだ。
病院に指示を仰ぎ、分娩室に入る。
嫁さんは、まる1日、日をまたいで痛みに耐え続けた。目の前で陣痛に苦しむ嫁さんを目の当たりにするが、どうすることもできず、誰よりも泣きそうになりながら、ただひたすら待ち、声をかけ続けた。
医師の診察がある際は、時々待合室へ待機するよう言われていたが、真夜中だった事もあり、陣痛で泣き叫んでいる嫁さんの声だけが聞こえ続けていた。
どれだけの時間待ち続けただろうか。
食欲もない、眠気もない。
これまであった色んな事を思い返していた。初めて「非閉塞性無精子症」の診断を受けてから、2人の生活は激変したこと、お互いの心が壊れてしまわないよう、本当に2人で協力しながら立ち向かってきたこと、どうしようもなく辛い時があったこと、すがる思いで辿りついた大阪の「リプロダクションクリニック大阪」で、精子を見つけて頂いたこと。
「どうか、無事に帰ってきてほしい・・・」
ただその事だけを願っていた。
日が明けてから、長い時間待合室で待つこととなった。
そして、その時はやってきた。
「・・・せーのっ ・・・・・・」
掛け声のような声が聞こえた。
何人もの看護師さんが部屋に入って行くのが見えた。明らかに慌ただしい。
「ご主人、急いで来てください!!」
心臓が張り裂けそうなくらい、不安と緊張だった。
分娩室に入ると、かなり何人もの看護師さんが、出産の時を待ち構えていた。
嫁さんは、まだ産まれていないのにすでに泣いている。
嫁さんの首に手を回し、見よう見まねで支えた。
「これで最後ですよー!!せーのっ!!」
産声が聞こえた。
力強く泣いている。
「元気な男の子ですよ!おめでとうございます!!」
親子3人で、初めて泣いた。
現在、嫁さんは子供と一緒に実家に帰っている。次元は普段仕事で帰りが遅いため、週末だけ会いに行っている。
今回の出産の瞬間を思い出すと、今にも泣きそうになる。
報告が遅くなりましたが、無事に生まれました。
これまで応援のメッセージを頂いた皆様に、深く感謝いたします。
ありがとうございました。