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和語で銀を“しろがね”。銅を“あかがね”と読む理由は昨日の説明でお分かりと思います。

銀(しろがね)と言えば山上憶良が詠んだ有名な歌がありますね。

銀(しろがね)も 金(くがね)も玉も 何せむに 勝れる宝 子に及(し)かめやも

同じ時代、奈良時代ですが、”丹(に)”という言葉が出てくる有名な歌がある。

青丹(あおに)よし 奈良の京(みやこ)は 咲く花の 匂えるがごと いま盛りなり

この歌は九州の太宰府に赴任していた小野老(おののおゆ)が奈良を偲んで詠んだ。小野老は筑前守だった山上憶良の副官だった。

奈良に修学旅行にいくと、どこかのお寺のお坊さんが“青丹よし”の歌を引き合いに出して、“この歌は青や丹の色が鮮やかだった当時の平城京の春の素晴らしさを歌ったものだ”と説明するそうです。

ワタシも奈良に修学旅行にいきましたが、奈良公園でクラスの大勢と離れ、数人でトンズラして奈良の大仏も見てません。だから青丹よしの由来の話も聞いていない。

聞かなくてよかった。“青丹よし”という奈良に掛かる枕詞は、実は平城京ができる前から使われていた。文法的に言っても“青丹よし”の”よし”は”良し”ではなく、”よ”も“し”も詠嘆や感動を表す間投助詞だそうです。

以下はグーグルで検索した情報です:

『「青丹よし」は、奈良にかかる枕詞でその由来は二説あるという。ひとつは岩緑青(マラカイトグリーン)と呼ばれる色の元となる青丹が奈良に産出したとの記録があるからだとするもの。丹はここでは土の意味であり青丹とは文字どおり青い土を意味する。もうひとつはその青丹から抽出した色を馴熟すること、つまり「ならす」ことに由来するものだとするもの。そして、「よ」や「し」はどちらも間投の助詞で青丹を強調するもので特別な意味は持たない。』



上の写真はマラカイト(孔雀石)です。銅床に多く産するそうです。緑青の緑が色に出るんでしょうね。

青丹という色は古くから和色のひとつだった。利休鼠の雨が降る、の利休鼠も和色のひとつです。カタログを見ると、青丹色は淡い草色ですね。おそらく古代には衣類の染料として使われたんでしょう。

[続く]