『蔓延元年のエレキギター』
5.うーん、マンダム
僕らが高校生だった頃は、アルバイトなんて新聞配達か牛乳配達しかなかった。とは言わないまでも、職種もチャンスも多くはなかった。
それに僕らはベビーブーマー世代で競争が激しかった。小中高と、どの先生からもことあるごとに、君らはヘンタイだぞと言われた、いや違った、タイヘンだぞと言われた世代だ。
最近の正しい高校生の生活態度。それは勉強よりバイトらしい。だが僕らは正反対。バイトより勉強だった。
そのうえですよ。月賦で何かの商品を買うなんてことも、普通の親は好まなかった時代だ。
分割払いの丸井のコマーシャル。今日楽しんで明日払おうみたいなキリギリスの暮らしを薦めるコマーシャル。あれがチャールズ・ブロンソンの『ウウム マンダム』ってコマーシャルと並んでテレビを席巻する。
こうして若者がおしゃれに目覚め、 分割払いで物を買い始める。これは僕が大学に入ってから後の話だ。
チャールズ・ブロンソン
男性用化粧品マンダムのコマーシャル
吉幾三の歌風に言えば、
あっ バイトもねぇ 月賦もねぇ ステレオなんか見だごどねぇ
っていうのが僕らの高校時代だった。[続く]