『蔓延元年のエレキギター』


2.あの頃のエレキの値段


僕の新宿時代から数えて5,6年ほど前の1965年。僕らにとってキラキラ光っていたのはエレキギターだった。


あれこそは魔法の楽器だ。ソリッドなボディ。若者の腰のあたりの太陽神経叢をビンビンとはげしく刺激する電気的な音。


あの1965年。ちょうど高度成長時代がスタートした頃。まだ大抵の人が貧しかった頃だ。


1月にベンチャーズがやってくる。斜陽の大英帝国から飛び出した奇跡の4人組、ビートルズの人気は鰻登りにノボリ続ける。


その頃。


たまりかねて親に泣きついてエレキギターを買ってもらった人がいた(僕じゃありませんよ。当時のことをネットで調べた)。


国産メーカーのグヤトーン。値段は1万7000円だったそうです。


なんだ、たったの1万7000円か。オレのお年玉で買えるじゃん。


なーんて思ったイマドキの高校生。君はアマーーーーイ。


[続く]