東京電力は福島原発事故への対応に追われ慌てふためいているのであろう。
14日に計画停電が一部実施されてから今日で3日目だが、この間、私が住む地区では計画停電は実施されていない。実のところ、私が住む町はグループ1なのか2なのか、詳細を市に問い合わせてもわからない状態が続いている。
東電のカスタマーサービスには電話は繋がらない。計画停電が実施されるのかされないのか分からず、混乱だけが増幅していく。これは私の周辺だけではあるまい。


まず東京電力の社員諸君に言いたい。あなた達は冷静になって、これから始まる長く苦しい2正面作戦に対応する効果的なプログラムを作らねばならない。

2正面作戦とは福島原発事故への対応と計画停電の効率的な実施である。


福島原発事故への対応は燃料棒を鎮圧して放射能漏れを防げば終わるものではない。この事故の影響は原発に対する世界の認識の変化や日本の株式市場への深刻な影響など、その余波には測り知れないものがある。

また一方、計画停電の実施は我々の社会生活と生産活動に長期の大きな影響を及ぼすことが予想される。従って今回の2正面作戦は長期戦を想定した困難なものになる。


東電の5万社員は今こそ英知を振り絞ってこの困難を切り抜ける方策を策定し実行しなければならない。

電力は現代の社会生活と生産活動を維持するための根幹である。電力供給に問題が起こったときの衝撃は社会の隅々にまで及ぶ。


まずはっきり言っておく。計画停電のグループ分けを5つにしたこと、実施時間を3時間にしたことはあまりにも拙劣である。

東電の管内1都8県は政治と経済の中枢であり、それぞれの地域の重要度は決定的に異なる。鉄道幹線が走っている地域、大きな生産工場を持つ地域にとっての電力の重要さは言うまでもあるまい。

従って、
1.計画停電のグループ分けは早急に見直し作業に入り、より効果的効率的な細かいグループ分けを考えねばならない。


次に計画停電の実施時間だが、それぞれのグループが3時間の停電というのは社会生活や生産活動に対する影響が大きすぎる。

東電の管内1都8県には大きな工場と無数の中小の事業所、スーパーや商店がある。人口の多い地域なので学校や保育園幼稚園も多い。これらの施設が連続3時間の停電に見舞われたらどうなるか。ほとんど機能停止に等しい状態になるのは目に見えている。

従って、
2.計画停電の実施時間を短縮するための作業に直ちに入らねばならない。


よく考えてほしい。会社や工場の大半、中小の事業所の稼働時間は午前が8時または9時から正午まで。午後が1時~5時または6時である。いずれの時間帯においても3時間の停電は致命的だ。しかし停電が1時間ならどうか。停電時間が1時間なら万事に有能な日本人は効果的な対応をすぐ実行していくであろう。4時間の作業を急いで3時間で終わらせる。停電の時間を休憩に当てる等の対応が可能だ。単純な算数だが、たとえばグループ分けを15にして停電を実施するグループを1度について3グループにする。そして3時間ごとではなく1時間ごとの輪番にすれば各グループにおける停電の影響を劇的に小さくすることができる。


最後に、計画停電の実施にまつわる混乱(実施されるグループにいるのに実際には実施されない等の混乱)は正確な電力需要予測が立てられないでいるからであろう。東電の5万社員の中には有能な人材がいるはずだ。

3.現場を良く知っている社員を糾合し、地域ごとに正確な需要予測を立てる。電力供給が決定的に重要な地域、インフラ(鉄道網等)、施設(病院等)を特定し、優先的に電力を回すようにする。


東京電力は直ちに上記3つを実行するためのプログラム策定に着手しなければならない。