Robert Smith's Critical Guide to Robert Smith

(サンバーン訳)
21/09/1985-The Hit


彼はThe Cureのリーダーだ。と同時に、The Gloveの1/2で、パートタイムでBansheeもやっている。それにグウタラのクソッタレでもある。と言っても、これは彼が自分で言っていることだが。

Robert Smithは自分自身やバンドのレコードについては厳しい。その彼が、15回のショーを興奮のうちにこなしたあと、まだ1日12時間ベッドにいられるのはどうしてなのか、その秘密を明かしてくれた。



●シンガー



「僕は自分をシンガーとして見たことはないんだ。本当にね。初めの頃はパフォ―マンスのことも気にもしなかった。ただ歌に必要な心の状態に持っていくこと、それに相応しい状態にしようとしただけさ。僕の歌の中にはかなりいい出来のもあるけど、大半は調子っぱずれだったよね」



「歌をやろうと思った時点で、そんなことは充分に予想できることだった。で、以来、僕は色んな声で歌おうと心がけてきたんだ。それで分かったのは、自分の普段の声からかけ離れた声で歌うのはとても難しいってことさ。それをやると、作りモノみたいに感じられてしまうんだ」



「キュアーがスタートしてから、僕の歌も上手くはなった。でも、今の僕がどうかって考えると、そんなに大きく進歩したとは思ってないよ。もし選ぶとすれば、僕は多分、そうBilly Mackenzieみたいなのを聞きたいな。でも、僕以外の誰かがキュアーの歌を歌うなんてことは考えられないよ」



●ソングライター



「僕は今までに、完璧にいい歌をいくつか作ってきたと思うよ。それに、完璧に馬鹿げた歌も幾つかね。全体としては、今のチャートを賑わしている歌の99%は僕の歌よりひどいシロモノさ。もしそうしたければ、僕はWhamの歌よりひどいものだって書ける。でも、それが何になるんだい?最近の歌の多くはすごく浅いよね」



「僕はそこらのバンドが持ってる考え、ソングライティングに磨きをかけるって考えが嫌なんだ。僕は座ってるだけで、かなりいいシングルの歌を簡単に作れる。それは作曲ごっこみたいな感じさ。いわゆる"歌"の多くは、ホント、音楽の断片なんだ。みんなが曲を書くときのアプローチとは違いがあるね」



「正直に言って、僕は自分をソングライターに分類してはいないんだ。僕は自分のパスポートにはずっと音楽家(ミュージシャン)って書いてきた。これも可笑しいけどね」


●ギタリスト



「これもやっぱり、僕はギタリストだって公言する気はないね。技術的にはいいプレイヤーじゃないし。でも少なくとも、ほかのプレイヤーとは違うものが僕にはある。僕にとって、ミュージシャンだってことと技術的能力とは、なんの関係もないんだ。ただし、自分のアイデアを音楽のなかに盛りこめるだけの技術は持ってなきゃ、って思うけどね」



「重要なのは、楽器と気持ち良く付き合いながらステージをやることさ。学ぼうとする気持ちも持たなきゃね。プレイヤーって、大体がずっと同じレベルでいるよね。そんなのを聞くのはウンザリだな」



「僕は自分の楽しみのためにギターを弾いたことはないね。そんなときはピアノを弾くんだ。僕にとってはピアノを弾く方がずっと面白いね。基本をマスターしてる唯一の楽器だから」

「バンドのドラマーやベーシストになりたいと思ったことはない、って自信を持って言えるね。
それは僕にとって最悪の選択だと思うよ」



●パフォーマー



「5年前は、僕はステージではまったく動けなかった。音楽に集中しなけりゃならなかったからね。今はずっと快適な感じさ。まだ全てが自然な感じじゃあないけどね。ステージでは自分を忘れて夢中になる必要があるんだ。時々、歌の最後まで行って目をあけるよね。すると目の前には僕を見つめてる顔がずらりと並んでるんだ。ほんと怖いと思うよ」



「ステージで完全にリラックスできるようにはなれないだろうな。そうなったら、僕はステージに座って居眠りをはじめると思うよ」



「ライブを見れば、たぶん、僕たちがどうやって強力なファンを作り上げてきたか分かるよ。僕たちはかなりいい線いってるって、僕はずっと思ってきた。今じゃ曲のレパートリーもすごく広がったしね。ライブもずっと楽になってる。わざわざ自分たちを売りこまなきゃならないプレッシャーを感じたことはないな」



「もし僕が若かったら、この国の3 つのグループのうちのどれかひとつにいたいと思うだけだったろうね。で、僕らはそのうちのひとつになってる。それは僕が与えることができる唯一の正当化だね。つまり、僕がしていること、なぜこれを続けているかに対するね」



●ビデオ・スター



「ビデオってのはかなり面白いものと思うんだけど、でも、作るのは僕はまだ嫌いだね。僕たちが最後に作ったのは"In Between Days"の時だったけど、消耗したよ。だって、5時間もカメラを体に縛り付けてなきゃならなかったんだから」



「僕たちはもう1つ、シングルの為にビデオを作ったことがある。それは閉所恐怖症に関するもので、Tim Pope(監督)が出したアイデアは、僕らをワードローブの中に閉じ込めて、それを撮るってものだった。



「あれは僕が過ごした中でも最悪の12時間だったね。最後はワードローブを落っことすんだ。僕らを中に入れたまま、1000ガロンの水を詰め込んだ水槽の中にね。見るほうは面白かったろうなって君も思うだろうけど、僕のほうは辛い死をゆっくり味わわされてるって感じだけだったね」



「僕たちはこの古い屋敷で"Lovecats"を撮ったんだ。夜のうちにね。この屋敷を買いたいってことを口実にして入り込んだんだ。フィルム・クルーを連れてって、中でパーティーをやってね、適当なとこでビデオを撮ったんだよ。翌朝の6時に、僕らはみんな外に座って、この屋敷の不動産代理人を待った。屋敷の鍵を返すためにね」



「僕がビデオを嫌うのは、こんなことの為さ。朝っぱらから待機しなきゃならないんだから。もし僕が天国に行けるとしても、それが朝の9時じゃなきゃ駄目なんなら、きっと僕はすごく不幸な気分になると思うよ」



「それにさ。いい感じに見えるようにするためには、ビデオには色んなものを詰め込まなきゃならないんだ。ほんとは半分昏睡状態で、家に帰ってベッドの中にもぐりこみたいって時にね」



●カルト・ヒーロー



「レコード会社から出てきたときなんか、僕はなんでインタビューなんかやって、写真まで撮らせちゃったんだろうって思ってた。それに、新聞や雑誌を売る会社に行って、音楽雑誌を手に取って見ると、なんで、って僕は思っちゃうんだ。馬鹿な記事で一杯だからさ」



「みんながどうして僕を仰ぎ見るのか、僕には理解できないね。でも、僕の真似をしたい、僕のサインが欲しいって気持ちは理解できるよ。僕は誰か有名人を追っかけたことはない。でも、1度、 たしかCyril Smithのサインを真似したことがあったな。どうやって彼と会ったかなんて大嘘の話も作ってね。あれは面白かった」



「バンドにいるからってだけで、なにか特別な反応を期待するファンに会うと、すごく居心地が悪い気がするね。僕はただ曲を書いて、それを歌ってるだけなのにさ」