Songs in the Key of Life (Sunburn訳)
05/09/1998-NME or New Musical Express


TravisのFran Healyが、自身の成長とともに聞いた数々の名曲について語ってくれた。



●思いだすことができる最初のレコード:「Save Your Kisses for Me/Brotherhood of Man」

フラン・ヒーリー「僕たちはブラックプールに行く途中だった。僕はまだ3才で、親戚たちと一緒にミニバスに乗っていた。その時、この曲を聞いたんだ」

「誰が一緒だったかもも覚えてるよ。僕のおばあちゃん、クリッシー叔母さん、ビル叔父さん、そしてママ、いとこ(こんな感じで、長々しい親戚のリストが続く)、・・要するに皆だね。その日に撮った皆の写真があるんだ。その写真を見ると、僕はいつもこの歌を思いだす。ラジオから流れてたか。でなきゃビル叔父さんが持っていたテープだ。どっちかのはずさ」

「以来、僕が作った音楽にこの曲がどれだけ大きな影響を与えたか、僕には分からない。でも、あれから長い年月が過ぎたけど、ほんの数回聞いただけなのに、 僕はこの曲の詩を思いだすことができる。それはきっと、この曲がとてもいい曲だからさ」

●学校時代を思い出させてくれる曲:「Prince Charming/Adam and the Ants」

「いまから思うと、これは自分で買った最初のレコードだった。当時、僕はレコード・プレイヤーを持っていなかった。でもこれを買ったんだ。なぜって、このレコードのカバーには降臨節カレンダー(子供用の彩色カレンダー)みたいなオマケがついてたからさ」

「僕は確か小学校の3年生か4年生だった。クラスのみんなは黒板のチョークをくすねて、顔に白い線を引いてアダム・アントの真似をしてたよ。何枚かのレコードを出したあと、彼はメイキャップを変えて、顔の横に2本の赤い縞模様を描くようになった。だから、みんな今度は赤いチョークをくすねて同じように真似したもんさ」

「これはとてもいい曲だった。でも学校で僕はすごいプレッシャーを感じてたんだ。クラスのみんなは何時も"Prince Charming"がどんなに素晴らしいか、って話をしてたからね。それで、僕も焦ってこのレコードを買ったわけさ」

「これは学校でディスコの真似ごとをするのに最適のレコードだった。でも踊ったりするのは女のコだけだった。男は追いかけっこなんかして遊んでたよ」

●最高の恋愛を呼び起こしてくれる曲:「The First Time Ever I Saw Your Face/Roberta Flack」

「これは本当はEwan MacCollの曲、つまりKirsty MacCollの父親が作った曲なんだ。彼はBob DylanやJoni Mitchellとおなじように、アメリカで本物の成功をおさめた最初のイギリス人フォーク・シンガーのひとりだった」

「この曲を書いたのはロバータ・フラックじゃないということを知ったのはほんの1年くらい前さ。映画「Play Misty For Me」で初めてそのことを聞いてね」

「この曲にまつわる特別な出来事はないんだよ。だけど、恋に落ちたり、ついでに言うと、恋に破れたりしたときに聞いてみたくなる、そんなような曲さ。いろんな目的に使える曲だと思うよ」

●失恋のレコード:「So Far Away/Carole King」

「こんな歌詞があるんだ。"So far away/Doesn't anybody stay in one place any more(はるか遠くに離れて/誰ひとり ひとつの場所に留まっている人はいない)"。愛した人に捨てられる。そんなことが歌われてる曲なんだ」

「誰かに悲しい目に合わされたときは悲しい歌を歌うしかない。でも誰かを悲しい目に合わせたときは"Roll Out the Barrel"のような曲がいい。きっと肩に大きな重荷を背負ったような気になるに違いないから」

「この曲はいつも僕を泣かせてきた。この7年ほど、何か悲しいことがあるたびにね。だから、そんな時にぜひ薦めたい曲だよ」

●人生最高の夏のためのレコード:「Feelin'/The La's」

「僕は"There She Goes"が好きだけど、これはわりと商業主義的な感じが薄いフォローアップ・シングルなんだ」

「どんな曲でも、最初の8小節っていうのは、残りを聞きたいという気持ちにさせるように出来てなきゃならない。この最初の部分の出来が悪いと、曲の残りも忘られてしまうようになる。 この曲はその点、すごく良くできてると思うよ」

「1992年の夏、僕は目が覚めると、毎朝これを聞いたものさ。秋になっても冬になってもそれは続いた。実際、これは合計すると約6カ月ものあいだ、僕の歌だったんだ」